嫉妬 #2 神社の境内の裏は表のお祭りの賑やかさとは打って変わって、少しひんやりとした空気を纏い、薄暗く十亀くんが言っていた通り、誰も足を踏み入れないような場所だった。
指で中を掻き回されて地面に愛液が飛び散り、背後から感じる体温は熱く、今直ぐにでも襲われてもおかしくない状況なのに彼はまだ私を焦らした。
「…っはぁっ…あ、あ」
「はぁっ…〇〇ちゃん好きだよ」
身体をまさぐる手つきは激しさを増すばかりなのに、時折低い声で耳元で囁いたり、耳たぶを甘噛みされる度に
涙が溢れ出た。こんなのもう耐えられない。はしたないと分かっていても腰を引くつかせて、声を漏らした。
「わたしも好き。十亀くんが一番」
「うん」
「わたし後悔してるの」
ぴたりと手の動きが止まって、膣内から長い指が引っこ抜かれ、また下半身を反応させてしまった。
彼に嘘はつきたくない。このまま嘘を突き通せば、また嘘を重ねることになる。元カレとの思い出が良くない記憶ばかりなので口に出すのも嫌だけど。
ゆっくりと身体を正面に向き直されると、提灯のあかりが十亀くんの横顔をぼんやりと照らしていて、さっきの蔑んだ眼差しとは違い、いつもの優しい目をしていてたので思い切って話す決意をした。
「ごめんなさい。私十亀くんに知られたくなくて嘘ついた。さっきの人ね…中学生の時付き合っていた人なの」
「うん」
「でもほんと…私は遊ばれてたと言うか。向こうは本気じゃ無かったし、嫌な思い出しかなくて。ん、と。何て言えば良いのかな。だからさっきも軽いノリで…」
「〇〇ちゃん俺に嘘ついてたのぉ?」
「んっ!」
背後の木に背中を押し付けられ、大きな手が浴衣と太腿を一緒に持ち上げると下からぐっ…と熱くて硬いものが押し当てられ、息を吐くのを見計らったように、それを一気に奥まで押し込められた。
「…っ!はっあっ…あっ…あっ!」
そのまま両手で下半身を軽々と持ち上げ、彼の身体に引き寄せられズンっと奥まで何度も突き上げられた。
「んっ!はっはっ…あっ…と、とがめ…く…」
乱れた浴衣を隠すように彼の大きな背中が上下に揺れた。
息をするのも忘れてしまいそうな位、膣内にじわじわと侵入し、広げられていく。その度にピクンと大きく身体を震わせ叫びそうになる口元を両手で覆った。
「〜〜〜っ!ふっふっ…んんんっ!」
「あ〜ごめんごめん。
なんかさぁもう我慢出来なくなっちゃった」
「んんっ!はぁっはぁっ!んっくっ…」
顔を上げると、月が雲に隠れて十亀くんの顔が全く見えない。ただ淡々と腰を打ちつけられていて、私達はまだ人も大勢いるお祭りをしている神社の境内裏で身体を重ねている。
徐々に愛液が溢れ出し、十亀くんのペニスを絡ませて、滑りが良くなっていく。こんな無理矢理犯されている様な状況なのに、私はいつも優しい彼がこんなに荒々しく激しく自分の身体を求めてくれているのが嬉しくなっている。
「っはぁっ…んっあっんっ」
「はぁっはぁっ…はっ…〇〇ちゃんの感じてる顔ぉ
よく見えるよ。かわいい」
軽々と身体を抱き抱えられ、下からずぼずぼとピストンされて外でセックスをしているという背徳感も相まって頭が真っ白になっていく。十亀くんの分厚い上半身が汗ばんでいて、吐息がかかりぎゅっと強く首にしがみついた。
「あぁっ…十亀くん…気持ちいいっ」
「はぁっ…んんっ…俺もだよぉ」
「あっあっ…ごめんなさい…本当に…ごめんな…」
「…………」
「あんっ!」
ぐっと身体を引き寄せられ奥までひと突きされると、ドクンと大きく痙攣しナカイキしきゅうきゅうと十亀くんのペニスを締め付けた。
「はっはっ…あ…あっ…」
ぬこぬこと腰を振りながら唇を重ねられると柔らかい舌が侵入し、唾液を絡ませられた。
「はぁっ…背後からいい?」
「んっ…」
身体をゆっくり降ろされると、木に手をつかされ十亀くんの大きな手が腰に添えられて直ぐにずぶずぶとペニスで膣内を広げられた。
「あっあっ…あぁっ…はぁっ…あっ…イッたばかり…あっだから…はぁっ…んんっ」
「うん…すっごいとろとろぉ。絡みついてくる」
引いて押し込められる度に声が漏れ、自分の浴衣の袖を噛みながら声を抑えた。十亀くんの左手が胸元に伸びてきて先端を器用にこりこりと捏ねくりまわすと、腰を引くつかせてしまった。
「あっ…あっ…またイッちゃうぅ…
はぁっ…あんっ…あっ」
「いいよぉ。次は一緒にイこうか?」
パンッパンッパンッパンッパンッパンッ
あっあぁ〜っ!十亀くんっ…とがめく…んっ…あんっあんっ、はぁっ…んんっ!」
「んっんっ…はぁっはぁっ…!」
激しく腰を打ちつけられ同時に達した。
ゴムの上からでも分かるくらい、十亀くんの精子が熱く、大量に精射したのが伝わってきた。
⁂
「なんか、ごめんね俺完全に〇〇ちゃんの元カレに嫉妬してた」
こちらの乱れた浴衣を直してくれると、まだはだけたままの作務衣のまま少しシュンとした表情をして俯いてしまった。
「十亀くんは悪く無いよ。私が全部」
「ん?」
「今私すごい幸せで十亀くんの彼女になれてから、毎日が楽しくてこんな気持ちになったのも初めてで…だから…
次あの人に会ったらキッパリと言うから!だから安心して?」
「キッパリと…いやぁ大丈夫大丈夫。〇〇ちゃんの事信じてなかった訳じゃないんだ。ただ、ほんとヤキモチみたいなもんだから気にしないで」
側の枝にかけたままにしていた金魚の袋を取ってくれると、片方の手を差し伸べてくれた。
「十亀くん…我慢してない?」
「えっ?」
「遠慮してる」
「あ…あぁ…そんな事ないよぉ」
「だって。
まだ何か私に言いたそうな顔してるもん」
「え〜…バレたぁ?」
「今もこれからもずっと
十亀くんの彼女は私なんだから」
えっ…と声を漏らすと嬉しそうな顔をして両目を閉じ小さくため息を吐いた。
「名字じゃなくてぇ。
そろそろ下の名前で呼んで欲しい」
こちらを優しい眼差しで見つめてくる顔が、神社の提灯の色に染まり頬を赤く染めていた。
おわり