かいかお キスの話 きっかけは何もない。ただ、私がしたい、と思っただけ。
ソファーに座ってるかいちゃんの隣に座る。本当にこう言う時じゃないと、私はかいちゃんの顔に触れることすらできない。身長差とは神様のいたずらか、それとも嫌がらせか。
「薫ちゃん? どうした?」
「どうもないよ! ちょっとした気まぐれ?」
「そう?」
雑誌を眺めていたかいちゃんの視線がまた雑誌に落ちる。ぺたりと頬に手を当てて、邪魔くさいんだろうなあ、と思いながらも、ぺたぺたと触れて、自分の顔を引き寄せる。
頬にキスを落とせば、粘着的な柔らかいものを感じてか、かいちゃんが目を丸くしてこちらを見ていた。
「……そういう雰囲気だっけ?」
「じゃないと思うよ?」
「そ、そうだよな?」
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