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    ralirule333

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    ralirule333

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    かいかお

    かいかお キスの話 きっかけは何もない。ただ、私がしたい、と思っただけ。
     ソファーに座ってるかいちゃんの隣に座る。本当にこう言う時じゃないと、私はかいちゃんの顔に触れることすらできない。身長差とは神様のいたずらか、それとも嫌がらせか。
    「薫ちゃん? どうした?」
    「どうもないよ! ちょっとした気まぐれ?」
    「そう?」
     雑誌を眺めていたかいちゃんの視線がまた雑誌に落ちる。ぺたりと頬に手を当てて、邪魔くさいんだろうなあ、と思いながらも、ぺたぺたと触れて、自分の顔を引き寄せる。
     頬にキスを落とせば、粘着的な柔らかいものを感じてか、かいちゃんが目を丸くしてこちらを見ていた。
    「……そういう雰囲気だっけ?」
    「じゃないと思うよ?」
    「そ、そうだよな?」
    「私がしたかったから! それだけ」
    「そっかぁ」
     納得してるのか、してないのか、微妙な回答が帰ってくる。私もやりたかっただけだから、またぽすんとソファに腰を下ろす。少しだけ鼓動が踊っている。これだけのことなのに緊張していたのか。
    「唇」
    「え?」
    「唇には欲しくないの?」
    「……ほ、欲しいです」
     思わず敬語になってしまった。かいちゃんは声だけで笑って、それから、なんてことないみたいに、私の顔に手を添えて、一つキスを置いて行った。
    「アンコールはセルフサービスで」
    「………………いじわる」
    「いじわるかあ? 薫ちゃんの方がいじわるだと思うけど」
    「そんなことないよ!?」
     唇に指を乗せる。まだかいちゃんの感触が残っている気がして、ドキドキする。
     ソファの上で膝立ちになる。またかいちゃんの視線は雑誌に戻っていて、私だけがドキドキしているような気がして悔しくなる。
     指先でかいちゃんの頬を撫でて、そのまま手のひらをかいちゃんの頬に押し当てる。かいちゃんの目線がこちらに来て、じっと私を見つめる。その視線に私は弱いの。隠したくなる気持ちをぐっと抑えて、息を止めて、そのまま吐息を漏らす唇に自分のを押し当てた。
    「……隠すかと思った」
    「隠さないでって言ったのかいちゃんじゃん」
    「そうだけどさ。……恥ずかしい?」
    「恥ずかしいよ!!!」
     かいちゃんの胸にぐりぐりと額を押し付ける。宥めるように、ぽんぽんと頭を叩かれて、ちょっとだけ落ち着く。それがずるいと思うんですよ。
    「あー、桃でも食べる? 確か一個余ってたけど」
    「食べる!」
    「あいよ。じゃあむいてくるな」
    「私も手伝う。お皿出せばいい?」
    「いいよ、座ってな」
     こうして私たちは桃を堪能して、キスで満足するのだった。
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