口は災いの元(前編)「んじゃ、後でなーみるく」
「うん」
「また明日〜!」
「うん、ばいばーい」
夕暮れに彩られた校門にて、私は姉妹と親友に手を振った。
いつもは同じ時間に同じ帰り道を通って帰宅するが、今日は、姉のいちごは運動部のヘルプ、親友のれい……れい達兄妹は、久しぶりに帰ってくる父親を迎えに行く日だ。
────どれだけ他の日が変わっても
どういう訳か、今日この日だけは……
(代わりにお父さんお母さんが早く帰るとかも起こらないんだよね……)
数えるだけでも疲れてしまう程重なった時間の中、“今日”だけは必ず、私が1人になる日だった。
しばらく帰路を辿り、住宅街に入ってから私は呟いた。
「明日の小テスト……それなりの点数にしないと……」
7842