冷たい風が頬を刺す。
其れは痛くて、何処か懐かしい感じがした。
余りの痛さに耐えきれず、目を閉じてしまう。すると何故か、辺りが汚れ一つも無い真っ白な世界が見える。
一歩前に足を出すと、音もせずゆっくりと埋もれる。眩しく見える白色と何も無い音でわかる、これは雪だ。
ボクは今銀世界にいるのだ。
そう思うと、此処にいた跡を残したくなり前へ前へ歩いたり、途中で身体を雪へと落とす。
それは布越しでも伝わるほどの冷たさだった。だけど、それが何処か心地良い。
数分間立って、また身を起こし前へ前へと進んでいく。
「___!!そっちは危ないから行ってはダメよ!」
後ろから声がする。ボクは勝手に、その声の方向へと向かう。望んでもいないのに。
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