キラータイガーを捩じ伏せれば、デルコンダル王は見事だと笑いながら、月の紋章を寄越した。ありがとうございます、と笑顔を作ってお辞儀をし、とっととその場を後にすべく後ろを向いて歩き出す。バニーガールを侍らせる王など、はっきり言って今後交流すらもしたくないからだ。俺たちを試すようなやり方もいけすかない。
「しかし、王女すらも戦いに駆り出すとは情けない王子どもだな」
ぴた、と足が止まる。反応してはダメだ、このまま去れ。頭でわかっているのに、足は動かない。
「世界を救う旅とはいえ、女の力を借りねば戦えぬ王子など、誰が信頼を置く? 女を危険に晒しているのも嘆かわしいことだ」
「お言葉ですが、王」
カインが出るより先に、俺の口が動いてしまった。クソ、舌戦は得意じゃないのに。
「これはマリア王女自身が望んだ事です。彼女の想いを汲んで、我らは共に旅をしている」
「彼女の想いがなんだという? どのみち女がいては足手まといではないか! 先ほどの戦闘も、後ろから杖を持って見ていただけだろうに」
「それは、大きな怪我もなく、攻撃呪文を撃つ必要もないと──」
マリアが言い返すよりも先に、デルコンダル王は下品な声を上げた。
「そうだマリア王女、ここに留まれ。そしてわしの妃となれ! 亡国の姫など、どこも引き取りはしないだろう。だがこのわしは違うぞ。お前のように大層美しい女なら誰でも──」
瞬間、俺は振り向いて、その玉座めがけて飛び上がる。バニーガールから悲鳴が上がり、下の方からは慌てた声が聞こえたが、もはや俺の耳には入っていない。
「ひぃっ!?」
「貴様、女をなんだと思っている」
鋒は王の喉元に向いている。怒りに体が突き動かされているが、どこか冷静な頭が、すらすらと言葉を並べ立てている。
「マリアはお前の性欲を満たすための女じゃない、俺の仲間で、由緒正しきロトの末裔、何より俺の婚約者だ。それを貴様のような下劣な王が妃にだと? ふざけた事を抜かすんじゃない」
「いっ、いくら他国の王子といえどっ、これ以上口答えするなら戦を仕掛けるぞ!!」
「仕掛けたいなら仕掛ければいい、俺は言葉を撤回しない。母国なんか俺にはどうだっていいからな」
「アレン!!」
ようやくマリアの叫び声が耳に入って、俺は鋒を下ろした。不味いな、流石に我を忘れていた。
「──とにかく。彼女を侮辱するのであれば、我々は貴方の敵となります。お忘れなきように」
適当にそうしめて、玉座からコロシアムへと飛び降り会釈をし、俺たちはデルコンダルを後にした。
国を出てすぐ、カインとマリアのゲンコツが降ってきて、