初デート「演劇…ですか」
「ああ。以前読んだ本が原作となったものをやるようでな。行ってみようかと思ってるんだ」
レッスンの合間、ちょっとした休憩時間に交わす雑談が嬉しくてたまらない。
ベルナルド先生は読書が好きだ。そして私も読書は趣味の一つである。自然と雑談の話題として本に関することが挙がることが多くなっていて、彼からお勧めを聞いて読むことも多かった。
その真意としては――もちろん、本が好きというのもあるが――彼と同じものを見てみたい、もっと近づきたい、という下心もある。
そう、私はベルナルド先生が好きなのだ。
「前勧めてもらった本ですよね。いいですね、演劇。面白そうです」
「俺も観劇は初めてなんだが…」
だが?その続きを待つが、沈黙。
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