良妻杉①洗い物を終えて、ふうと息を吐いて窓の方を見やれば午後の穏やかな陽と涼しげな風が舞い込んだ。いつもは騒がしいこの家の中も今日は全員出払っていて静寂に包まれている。
少しの間迷った後、奴らが夕方まで帰ってこないのを理由に家主がいつもならぐうたらと独占するソファを今だけは自分のものに。ごろりと横を向けば途端に眠気が襲ってきて、あっという間に瞼を閉じてしまった。
カラスの騒がしい声で目が覚めた。
帰りを促すように鳴く母ガラスの声に混じって、春から成長したものまで一緒に鳴く音に寝転びながら耳を傾けた。
彼らはもうそろそろ巣立ちの時期になるだろう。春から巣を作っているところを見かけて、せっせと餌を運ぶ親を見かけて。もうすぐ自分で飛び立つ時期になった。時の流れは早いものだと一人感心して、ゆっくりと身を起こした。
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