進捗をば〜 甘さを含んだ冷たい風が頬を撫でる。
恐らく誰かが露店でも出しているのだろう。あとで寄ってみるのもいいかもしれない。なにせ、今の自分は懐が潤い余っているから。
午後のおやつのことを考えながら新聞に目を通す。相変わらずこの通りは人が少ない。勿論、見回りも。
自分が離れていた間にこの町でなにが起きたのか確認する。開拓されたばかりのこの星について、星外からニュースを拾うことは容易くない。
赤いジャケットに青い髪の長身の男――サンポ・コースキは今日、久しぶりに愛しのベロブルグに帰ってきていた。一月程前、元々頼まれていた大口の仕事のためにヤリーロⅥを離れていたのだ。
星穹列車と最後の砦であるこの星の民達によって存護と開拓が為された後、特段大きな犯罪もせず(勿論普段だって別に悪いことはしてませんけど)、シルバーメインをのらりくらりと交わしながら、星外から少しずつやってくるようになったビジネスチャンスに飛びついていた。
1932