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    やっと濡れ場手前までできたので進捗見て見てします。誤字脱字御用があったらすみません。小説は初心者なので文は上手くないです。

    #ジェパサン

    まだ無題ジェパサン健全パートのみ
    ※既に付き合ってる
    ※独自解釈、捏造あり
    ※甘い



     甘さを含んだ冷たい風が頬を撫でる。
     恐らく誰かが露店でも出しているのだろう。あとで寄ってみるのもいいかもしれない。なにせ、今の自分は懐が潤い余っているから。
     午後のおやつのことを考えながら新聞に目を通す。相変わらずこの通りは人が少ない。勿論、見回りも。
     自分が離れていた間にこの星でなにが起きたのか確認する。開拓されたばかりのこの星について、星外からニュースを拾うことは容易くない。赤いジャケットに青い髪の長身の男――サンポ・コースキは今日、久しぶりに愛しのベロブルグに帰ってきていた。一月程前、元々頼まれていた大口の仕事のためにヤリーロⅥを離れていたのだ。
     星穹列車と最後の砦であるこの星の民達によって存護と開拓が為された後、特段大きな犯罪もせず(勿論普段だって別に悪いことはしてませんけど)、シルバーメインをのらりくらりと交わしながら、星外から少しずつやってくるようになったビジネスチャンスに飛びついていた。そんななか、なぜか、あの、シルバーメインの戌衛官であるジェパード・ランドゥーと秘密のお付き合いをすることになった。どうしてこうなったかはあまり深く考えたくはないし、今は馴れ初めの話はどうでもいいのだ。とにかく、サンポ・コースキはかのランドゥー家のご子息と恋人関係にある。その事実がわかってくれたらいい。
     もともと面白い男だとは思っていたが、付き合ってみたら存外可愛いところが沢山見えてきて、今ではサンポも利用価値以上の好意を認めざるを得なくなっている。夜の方も、童貞を自分好みに調教するのが楽しくて、しかもお互いなかなか性欲が強いものだから、時間と体力が合えばそれなりの頻度で致していたように思う。
     さて、サンポは新聞を読みながら葛藤していた。
     普通、セックスレスでもなく、互いに精力旺盛の恋人同士となれば、しばらく会えなかった分久しぶりの夜に燃え上がる、というような流れになるだろう。星穹列車やカンパニー、仙舟といったものが当たり前に存在する為忘れられがちだが、星の内と外では時間の流れに多少のズレがある。前にも一度、ナターシャに「一週間ほど居なくなります」と言付けて緊急の用事を済ませに星外に行って、帰ってたら一月弱も居なかったことになっていて頭を抱えたことがある。最後に会ったときに「大事な仕事で三ヶ月ほど会えません」とジェパードに言ったら、見えない耳と尻尾が垂れ下がって見えるほど悲しそうに「そうか、気をつけて」と言うものだから、つい張り切って一ヶ月ほど早く仕事を終わらせてきたのだ。
     なので、抜く時間も無くて正直溜まっている。それに一人でするのは楽しくない。もちろん?行きずりの誰かと事を為しても良かったが、禁欲後のセックスの気持ちよさのために我慢した。決して絆されているからとかではない。ならばさっさとその可愛い年下彼氏くんに会いに行けば良いと思うのだが、サンポにはそうできない理由があった。

    「どうしましょうかねぇ、これ……」

     葛藤しているうちに最後の文字まで目を通し終わってしまった新聞をベンチに置いて左脚をさする。
     少し食い込んだ自分の指に、無意識眉間のシワがよる。

    「こんな時に限ってどうして治りきってくれないんですかねぇ」

     サンポは今回の大仕事の最中、ヘマをしてそこそこの傷を負った。自分の身体も資本のうち、サンポだって負傷したくてしたわけではないのだが、人間どうしてもミスをすることはある。別にこの程度の傷なら生活や商売、無論セックスにだって何の支障もない。多少痛んだり
    傷が開くこともあるだろうが、そんなものはセックス中のスパイスにしかならない。少なくとも、サンポにとっては。
     問題は先ほど思い出していた恋人だった。以前、大怪我をして雪原で倒れていたところをジェパードに見つかってしまった事があった。もともと放浪者達がくることを知っていて人に見つかる場所という保険はかけたうえで、仕方なく常備している薬で仮死状態になっていたのだ。実際血はほとんど止まっていて、連れて行かれたナターシャの診療所で手当もしてもらい、いつも通りすぐに姿を消そうと思っていたのだ。しかし、頻繁に下層部へきて看病をし(もはや監視だったが)、治ってからもやけに過保護に扱われてものすごく面倒だった。とにかくそういうことがあったので、この傷が彼にバレたら厄介なのだ。しかし、久しぶりのセックスも諦めたくない。どうにか誤魔化して着衣セックスにでも持ち込めないものだろうか。

    「ま、ひとまず準備だけしておいて、露天でお腹を満たしますか。」

     サンポは新聞を近くのゴミ箱に放り投げて立ち上がった。







     今日は祝日で、行政区は人で賑わっている。下層部から遊びに来ている者、露店を出す者、普段と変わりなく過ごす者……。平和で賑やかな様子を見て、シルバーメインの制服に身を包んだ金髪の美男__ジェパードは微笑んだ。
     本来今日は非番だったが、想定よりも賑わっている状況に見回りの人手が足りなくなったため、翌日を休みにする代わりに行政区の見回りを命じられたのだ。
     賑わいに和みながらも、行き交う人々に視線を向け職務を全うする。しかし、時々露店をみて止まったり、青髪の人を目で追ったりと、いまいち集中できていないようだった。

    (あれは、サンポが好きそうだな。普段はどこで売って__はぁ、ダメだな……)

     サンポが仕事で会えなくなると言って居なくなってから二ヶ月、正直なんとも思わなかったのははじめの一週間だけだった。それもそのはずで、付き合う前だって二月も姿を見ないなんてことは無かったし、プライベートを除けば週に一回は姿を見ていた。こんなにも離れていたのは初めてなのだ。
    付き合いはじめてから指摘されて、できるだけ出ないようにしていた溜息も、会わない日数に比例して増えている。まさかここまで執着するとは思っていなかったが、恋とは往々にしてままならないものである。
    目の前を風船を連れた母娘が通り過ぎ、暖かな平和を噛みしめる。気を取り直し見回りに戻ろうとしたそのときだった。


    _____人混みで揺れる、深い、青。


     足は自然と動いていた。
     一点にその青色を捉えて、流れるように人混みを掻き分けていく。
     ベロブルグにも青髪の人間は沢山居る。身近なところで言えば頼れる部下であり、姉のバンドメンバーで、優秀な情報官でもあるペラゲヤ・セルゲーヴナや工房助手のモリー、下層部を取り仕切る女性医師のナターシャさん。(そう考えると女性の方が青髪は多いように思う)
     しかし、彼の色は特別だった。誰よりも濃く鮮明な深い青色。それでいて夜に溶けてしまうような妖しさを纏う髪色。

    「――………サンポ!!」

    留守をしていた大型犬が主人の帰りが待ちきれず走りながら吠えるような。喜色満面、僕は貴方に会えて嬉しいです!という感情を全く隠そうともせず声に乗せ、愛しい飼い主――もとい、恋人に駆け寄った。
    幸い、周りの人間は催しや家族に夢中なようで、二人がティーンの恋愛ドラマさながらの邂逅を果たしていることには誰も気づいていないようだった。


    「ジェパード様?」

     ジェパードを視界に捉えた瞬間、いつもは半分ほどしか見えないエメラルドグリーンが露わになって太陽の光にキラキラと輝いた。
     彼が休みであることを把握していたがために、サンポは余計に驚いてしまった。
     なんとか詰まらせずに飲み込んだ露天のパンケーキがゆっくりと食道を流れているのが分かる。

    「サンポ。戻ってきていたんだな。」
    「ええ、久しぶりです。僕、頑張って早く終わらせてきたんですよ?」
    「そうか、ありがとう。」

     僕の恋人は皮肉も冗談も通じにくい。ストレートに『好き』を飛ばしてくることに未だに慣れていない。
     今にもキスをされそうな雰囲気を、持ち前の演技ではね除ける。

    「お~っとっと、ステイ。ステイですよジェパード様。ここがどこかお忘れで?」
    「!あぁ、すまない……。今までこんなに長い期間君を見なかったのは初めてだったから。」
    「ふふ、僕も寂しかったですよ。……ところで、今晩は空いてます?」

     呼吸する音が聞こえる所まで距離を詰めて、上目遣いで囁く。
     雑踏の騒がしさをBGMに、唾を飲み込む音がはっきり聞こえた。

    「…………ああ。いつもの離れで、いいだろうか。」
    「は~い♡もちろん。では、花火大会が終わったらお伺いしますね♪」
    「ふ。待っている。」

     無事今夜の約束を取り付けて、雑踏に戻っていく。去り際、耳元に軽くキスを落とすことも忘れずに。
     振り返らずとも恋愛ベタな彼の顔が真っ赤に染まり上がっているのが手に取るように分かった。
     自分優位に揶揄うことができたからか、はたまたサンポも久しぶりに会えたことが存外嬉しかったのか、少々浮かれたような足取りでお菓子を売っている露店に足を進めた。傷のことを忘れて、流れで誘ってしまったことに気づいていなかったのだ。
     下層部の子供達を思い浮かべながら、自称親切で誠実な男はキラキラ鮮やかな飴菓子を手に取った。

    自分優位に揶揄うことができたからか、はたまたサンポも久しぶりに会えたことが存外嬉しかったのか、少々浮かれたような足取りでお菓子を売っている露店に足を進めた。傷のことを忘れて、流れで誘ってしまったことに気づいていないのだ。
     下層部の子供達を思い浮かべながら、自称親切で誠実な男はキラキラ鮮やかな飴菓子を手に取った。



     




     最後の花火も無事打ち上がり、少し冷たい空気に火薬の匂いが混じっている。
     少し湿った髪の毛を同じ色の空に揺らしながら、行政区の中心から少し外れた方へ歩いて行く。
     結局、途中で傷のことを思い出すも、下層部の子供らにねだられてつい先ほどまで一緒に花火を見ていた。
     ナターシャとオレグに挨拶といつもの支援(といっても既に上下の扉は開かれているため最低限足りないものとサンポのお節介だが)を終え、急いでシャワーと包帯の替えをしてジェパードの離れに向かっているところだった。
     さすがは三大貴族のお坊ちゃんである。仕事人間でほとんど寮で暮らしているからか使っていなかったようだが、何度目かの逢瀬の後に毎回僕が場所を用意しているんですけど!とサンポがごねたときにプライベートハウスのことを思い出し、以来、特に理由がなければそこで会うようにしている。
     ベロブルグでよく見かける建築様式に、控えめにだが所々に貴族然とした装飾が施された小さめの一戸建てが見えてくる。二世帯ほど住めそうな大きさだが、これで一人分というから金持ちとはいつも規格外だ。出世株の嫡男というのも理由の一つだろう。まぁその嫡男様は僕なんかと乳繰り合っているわけですが!
     門をくぐり、雪がまだ解けきっていない短い石畳を歩く。しばらく会っていなかったから、数ヶ月ぶりにストーブを点けたのだろう。どうやら彼も浮気はしなかったようだ。
     柄にもなく小さな深呼吸をして、貴族の扉に手を伸ばす。

    ガチャ

    「サンポ、待っていた。」

     サンポが扉にノックをする前に扉が開き、気づかず冷えていた身体をストーブで暖められたられた空気が包み込む。

    「さすがはジェパード様、僕に気付くのがお上手ですね。」
    「何度君を追ったことがあると思っているんだ。さあ、中に入ろう。」

     「冷えてるな…。」大人しく引かれた手が冷たく、自分のことのように顔を曇らす男にこっそり舌舐めずりをする。

    「湯船を張ろう。僕はもうシャワーを浴びたから温まってくると良い。その間にスープでも……」
    「いいえ。僕ももう浴びてきましたよ。」

     久しぶりなのに甲斐甲斐しく世話を焼きたがるでかい子犬を引っ張って、寝室に連れていく。
     電気が付いていなかったが、何度も通ったのだ、今更躓くなんてことはない。
     途中、引いていた腕が少しこわばったが、すぐに体温が上がっていったのが分かったので今からなにをするのかは分かっただろう。
     キングサイズのベッドに二人で転がりこみ、サイドテーブルの灯をつけた。
     オレンジに照らされた互いの視線が絡み、どちらからともなく口を寄せる。

    「んっ……ちゅ……、ふぅ……♡、……はむ…ジュルッ……っ♡ジェパ、ンうぅ…♡」
    「じゅっ……、ヌル……、……はぁ♡……ちゅっ、…サンポ」
    「ん、ん、あ、はぁ♡……あっ、ストップですジェパード♡」
    「?」

    キスもそこそこにサンポの服に手を掛けたジェパードに、胸を押して脱がそうとするのを止める。

    「えっとですね。……着衣セックス、に興味ないですか?」
    「は?」
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