辛い事は忘れて、ここで一緒に幸せに暮らそう「トランザム、トランザム・ライナック! むむ、いつもならすぐに来てくれるというのに……どこに行ったのだ? ソレガシが作ったこのインターステライム型クッキーを渡そうと思ったのだが……」
何処を見渡してもトランザムの姿はない。朝起きた時はすぐ傍にいてくれたというのに
みなと一緒に作ったクッキー、トランザムにも渡そうと思ったに……ジョジョンドゥ……
作ってる時にインターステライムが物凄い形相でソレガシを見ていた気がするが、それは気のせいだろう! だってこんなに凄い出来なのだ!
『——』
「む? おお! オブリビオン! オブリビオンではないか! そうだ、お前にもこれをやろうと思っていたのだ!」
まだオブリビオンにこのクッキーは渡していなかったと思い出した
オブリビオンの手は大きいからな、ソレガシが直接食べさせてやらねば
そうだ。オブリビオンはトランザムと仲が良かった記憶がある。オブリビオンなら居場所を知っているかもしれない!
「オブリビオン、トランザムの居場所は知らないか?」
首を振られた。そうか……オブリビオンでも知らないのか……
全く、トランザムは一体どこに行ったのだ? 探しにいかなくてはまた危険な目に合ってしまうかもしれない
「……? また危険な目に? トランザムはモンスターだからそんな事は……」
何か、忘れている。何か、大切な何かを。だけど、何だっただろうか? ソレガシは何を忘れている?
『——』
「————あれ。ソレガシは今……ああすまないオブリビオン! まだクッキー渡してなかったな、少し屈んでくれ。今食べさせてやるからな!」
うーん? 何を考えていたか忘れてしまった。だがすぐに忘れてしまうという事はそんなに重要な事ではないのだろう
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ユウディアスが忽然と姿を消した
初めからいなかった、とでも言うかのようにあいつの痕跡は何も見つからなかった
「どうなってるの……」
「寝る前まではいたわよね……?」
そうだ。確かにあいつはワレが眠る前まではいたのだ
『誰か不審な人物が来ないよう見張っておこう! ズウィージョウも手を貸してくれ、最初はソレガシが見ておこう』と言ってワレは眠りについた
疲れていたのだろうな。ワレは遊歩達に起こされるまで眠っていた
……可笑しいと思った。あいつがワレを交代役として任命したというのに、奴は一度もワレを起こすことは無かった
いや、そもそもユウディアスはワレを頼る気は端からなかったのかもしれないな
「エポッ!! ちょっ、ちょっとコレ見るエポ!」
「どうしたんだエポック?……それ、ユウディアスのデュエルディスクじゃねぇか!?」
「これ、こいつらが見つけてきて……」
ユウディアスのデュエルディスクを持ち出してきた
だが……
「デッキはどうした」
「こいつらに探させたけどなかったエポ、お、オイも一緒に探したからな!!」
デッキが見つからないだと?
ユウディアスが誘拐されるとは思わないが、デュエルディスクを置いて何処かに行くユウディアスも想像が出来ない
一体、何があったというのだ……ユウディアス……
『……』
カサッ……
「……あれはトランザム・ライナックか? 何故ユウディアスのモンスターが……?」
『我が主』
「ん、ああトランザム! トランザムではないか! 今までどこに行ってたのだ!!」
『申し訳ない。我が主の大切な物を取りに行っていた』
「ソレガシの大切な……物?」
ソレガシの大切な物とは、トランザムが持っている……塊なのか?
それがソレガシの大切な物とは……全く思えない
「トランザム、ソレガシにはそれがソレガシの大切な物とは全く思えないのだが……何なのだ? それは」
『これは……我が主の同胞だ』
「……どう、ほう?」
その塊が? ソレガシの同胞?
……む、その塊は入れ物なのか。中に何が……こ、これは……カード?
何かが書いている、これはギャラクシーのみなによく似ている……あぁ、ああそうだ! そうだこれは! ソレガシの大切な、大切なカードではないか! 何故忘れていたのだ?
「す、すまないトランザム! 大切なみなをソレガシは忘れていたなんて……バンビドゥされても仕方がない!」
『気にする事はない。我が主、貴方は今疲れてしまっている。だから我らを忘れてしまう』
「う"っ、確かにここ最近物忘れが……」
『だから、家でゆっくり、みなと共に眠ろう。みな貴方を心配している』
「そ、そうだったのか……」
確かに最近みな優しいと思っていたが心配されていたのか。全く気が付かなかった
これではあの方にまた「そういう所だ」と言われてしまう…………? あの方とは?
「トランザム、ソレガシは、ソレガシは何か忘れているのか? 聞き覚えのない言葉が浮かぶのだ、これは、一体」
『……それはただの疲労だろう。さ、我が主。戻ろう』
「う、うむ……」
何か、何かが可笑しいような
なにか、忘れてはいけないなに『ーー』か……が…………?
……? いや、何もおかしな所はないではないか