薪くらい惜しまず使ってはどうだ。
ただ暖めれば良いというものでもないだろう。
そんな些事から始まった口論は、思いがけず白熱してしまった。いつも見解の相違に始まり、互いを一通り罵ったあとは、無言とため息だけが残る。新たな主君の両腕となった今も、その習慣は変わらず、アスモデウスはガープと共に額を押さえた。
思ったよりも響いていたのだろうか。現れた主君は、気遣いへの感謝を告げて微笑んだ。こちらが気遣っているつもりで、逆に気遣われてしまうのは、これが初めてではない。
だからこうして呆けた顔のまま、二人でその背を見送ることになるのだ。
なにも変わらないな。どこか懐かしむような言葉と、魔皇の笑い声が確かに聞こえた。