3月4日は差し入れの日なのだという。
マスターこと藤丸立香は「元いた場所では記念日は山の様にあったよ。自分の都合のいいものだけを取り入れて騒ぐんだよ。語呂合わせが多いんだけど、そういうの楽しいよね」と笑って言った。
なるほど、差し入れか。
バーソロミューには差し入れをする文化はなかった。欲しければ奪う。与えたければ与える。そう言った人生を歩んできた。
だが、与えるというよりは施したい相手が出来てしまった。夏に出来たばかりの恋人に何か贈りたい、己の贈った物で微笑んで貰いたい、とそう考えた。
バーソロミューはマスターとの雑談の後、食堂へと向かった。食堂の主たるエミヤに相談する為であった。
道中、バーソロミューは差し入れと称して施したい人物に想いを馳せる。
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