嫉妬 曹紫 1/2三大勢力の曹操軍に入団した紫鸞は毎日、曹操軍の同僚と親しげに話していた。
曹操は紫鸞が自身の軍に所属してくれたことを心の底から大変嬉しく思っていた。
だがその気持ちに変化が訪れる。
ーあいつをもっと知りたい。欲しいー
心の中にある黒い渦が曹操の心を蝕んでいく。
「〜でこの時にここに攻めたてに行って……って……聞いてるのか孟徳……。」
その声にはっと我に返る曹操。
声がする方に顔を向けると夏侯惇がやや呆れた顔で見つめていた。
「あぁ。まず、ここに移動をして体勢を建て直すためにこの箇所へ向かうのだろう。」
「分かっているのならいい。だが孟徳…最近どこか上の空だぞ。まさかあいつを気にして……。」
夏侯惇に痛いところを突かれる。
だがそれは紛れもない事実だった。
「……私は必ず、あいつを手中に収める。」
夏侯惇はそんな自分勝手な曹操を見つめてため息が零れる。
「確かにあいつは面白いやつだ。この前も一緒に飯を食った時に…………」
「待て…食事を共にしたのか……?」
曹操は鬼の形相で夏侯惇を見た。
「そんな顔をするな。アイツが腹を空かしていたから俺が飯を奢っただけだ。」
夏侯惇の一言一言が癪に障る。
「夏侯惇。先程話した後の指揮はお前に任せる。私は少し急用ができた。」
そういい曹操は足早に軍議場を出ていってしまった。
(あれは重症だな……………)
夏侯惇は一人取り残された中、地図を見つめて作戦を練り始めた。
一方その頃……
「じゃあ今日はこの辺で……」
「また一緒に食事を共にしましょう。紫鸞殿。」
「紫鸞殿。私はまだあなたについて色々と知れていません…また今度お話ができる機会があればぜひ私と二人で……」
「公達殿……飲み過ぎですよ……。」
紫鸞は郭嘉、荀彧、荀攸と共に食事をしており、帰るところだった。
「ははは。君達といると飽きないね。とても楽しい。」
「笑い事じゃないですよ…郭嘉殿……。」
荀彧は泥酔した荀攸の介護をしていた。
紫鸞はそんな2人を見つめて笑みを浮かべた。
「おや。君は笑っていた方が素敵だ。その笑顔もっと沢山見せてほしいね。」
紫鸞は目の前にいる容姿端麗な男に口説かれ、少し赤面していた。
「郭嘉殿も少し飲みすぎでは……。」
「はは、そうかもしれないね……」
他愛のない話をしていた時だった
「ここにいたか。紫鸞よ。」
我らの軍の主 曹操が後ろに立っていた。
「おや?曹操殿。このような所に何故?」
「私は紫鸞に少し用事があってな。紫鸞。ついてこい。」
紫鸞は疑問を浮かべながら、曹操の元へとついて言った。
「あれは…随分と嫉妬してるね…」
郭嘉は去っていく紫鸞の背中を見つめながら一人で窃笑した。