Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    イサビリ

    ☆quiet follow Yell with Emoji ❤ 💚 💙 💜
    POIPOI 61

    イサビリ

    ☆quiet follow

    私の願い 郭紫白狼山での戦いが過ぎ、元化や紫鸞。みんなのおかげで郭嘉は一命を取り戻した。

    「ここは……。」

    目を覚ますと、薬品の匂いがツンと鼻を通った。
    ふと、右手に違和感があった。

    「……無名…殿……?」

    郭嘉の手をぎゅっと握り、眠っていた。
    モソモソと体を動かすと、紫鸞が目を覚ました。
    紫鸞は郭嘉が目を覚ましている顔を見て安堵した。

    「もしかして…ずっと私のことを…?」

    郭嘉がそう言うと、紫鸞は首を縦に振った。
    目の下にはうっすらと隈ができていた。

    ちょうどその場に元化も来た。

    「目が覚めましたか、郭嘉殿。紫鸞殿がそばを離れないと言ってて……俺は止めたんですけど……。紫鸞殿。ちゃんと寝てください?ろくに寝てないでしょう。」
    元化の文句を素直に受け止め、紫鸞は横で眠った。

    「はぁ……世話が焼けますよ本当に……。
    あぁ。郭嘉殿。後で紫鸞殿に礼を言ってください。いつ目を覚ますのかってずっと、心配してましたから…。」

    「ふふ…無名殿らしいね…。まったく…。」

    「じゃあ。俺は他の患者を見てくるので、何かあったら呼んでください。では……」

    そう言うと元化はその場を後にした。


    __

    本当なら、白狼山で死ぬつもりだった。だけど、天はそれを許さなかった。不条理だ。
    衾をギュッと握りしめる。私の願いは、儚く散った。

    そっと医務室を抜け出し、外に出ると、雪が降っていた。

    「美しいな…雪は……。」
    手のひらに落ちた雪は、すぐに消えてなくなってしまった。
    その光景をじっと見つめる。

    「私は…まだ生きている…。」


    __

    後ろからいきなり抱きしめられた。

    「おや…。寝たはずじゃなかったのかな…?」

    紫鸞が抱きしめていた。

    「だめ…。」

    その手は震えていた。

    「ふふ…そんなに焦らなくとも、私はもう何処へも行かない…。」

    震える手を掴み紫鸞を安心させる。

    「…戻ろう。」

    郭嘉はあぁ。と頷き、部屋に戻った。


    __

    「すっかり体が冷えてしまったね…。」

    再び、褥へと戻り、横になる。紫鸞を手招きし、近くへと来させる。

    郭嘉は紫鸞の腕を引き、自身の体の中に収めた。

    「無名殿は暖かい。冷えきった私を、暖めてほしい…。」

    紫鸞は首を縦に振った。心臓の音がドクドクの聞こえてくる。

    「ふふ。そんなに緊張しなくても…貴方をとって食べたりしない。今はただ…私を暖めてくれれば……それでいい。」

    そう言うと郭嘉は再び眠りについた。
    紫鸞も郭嘉の行動に安心して、つられて眠った。


    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖😭🙏❤❤❤❤❤❤💒❤💜💜💜💜
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works