早く好きって言えよ!*
神様が安売りされることもあるのだから、天使が五ドルで売られることだってあるだろう。
道端のマーケットで、大特価という名目と共に売り出されている古びた天使のオーナメントを眺めながら、ハングマンはそんなことを考えた。
世の中はクリスマス一色だ。街中が浮かれた人々の手によって電飾で照らされ、赤や緑や白色のオーナメントで彩られている。
すれ違う人々は大抵幸せそうに破顔しており、その中をふてくされた顔で歩く自分が異色という自覚はあった。
クリスマスで浮き足立っているのは、なにも見知らぬ有象無象の通行人ばかりではない。
ハングマンの数歩前を歩き、どこかの店から流れてくるクリスマスソングにあわせ、鼻唄を刻むのは同僚兼長年片想いし続けているルースターだ。
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