紫陽花の純情(No.2)力が不安定になる時決まって何か得体の知れない怪に狙われる…
俺はソレを思い出し、急ぎ隠れ家に場所を移した
本当は事情を話せばよいのだろうが、知ればスッパは絶対に付いてこようとする
それは俺が一番望まない事だった
得体の知れない怪異
それはずっと自分を狙っている
まだ若い時に会ったソレは…
マダワラシジャ…モウスコシ…モウスコシ…
と闇から目を細め、俺を見ては楽しそうに去っていった
自分がアジトに居れば、周りを巻き込む可能性がある
何時もならば怪なぞ人知れず処理しているが、今はそうはいかない
「…アイツに迷惑かけたくねぇしな…」
共寝に誘おうとしたあの夜から、薬を飲む気にもならず…
気力がパタリと無くなってしまった
無気力というはこういう事か…とひどく納得すると同時に、何故か…スッパの顔を見るのも辛くなってしまった
892