アシストロイドの落涙Ⅰ
ザザ…とノイズが走り、ざらついた視界でアシストロイドとしての「死」を認識する。
自分が何のために生きて、この死に何の意味があるのか。
そもそもアシストロイドにとっての「生」「死」とは何なのか。
たとえ自分が「心」など、「感情」など持たない身の上でも、今際の際にそれらについて思考するくらいは許されたいものだ。
そうだな、自分は元はといえば調理や給仕を行うために設計されたのだから、調理や給仕が自分にとっての「生きる目的」、ということになるだろうか。
だとしたら。
――最後にもう一度、俺の作った飯を誰かに食べてもらいたかったな。
ぽつりと呟いた言葉はもはや意味をなさない雑音に等しかったが、決して無意味ではなかった。
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