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ひどく寒い12月の夜。俺は自分の口から出た白い息を見ながら、バイトの報酬カプセルを開けていた。おカネが出てくる可能性はほぼほぼ運だが、俺とルタの生活費のためと思えばこれくらいへっちゃらだ。対して体はかじかみ、手は赤くなっていた。ふらふらとした足どりでちょっとした坂を下りる。そのとき、足がもつれ視界が90度曲った。衝撃を和らげようとイカ状態になる。
…間違いだった。運悪く倒れた先にはマンホール、カナアミがあった。イカ状態ならカナアミはすり抜ける、バトルやバイトのオブジェクトとしてはいつもお世話になったのに。いやだ、死にたくない、ルタに会えないなんていやだ。
そんなことを思っても体は動かない。思っていたより疲れているようだ。マンホールの中はじめじめとしていて、すこし暖かい。そんな暖かさに意識を奪われてしまった。
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