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ひどく寒い12月の夜。俺は自分の口から出た白い息を見ながら、バイトの報酬カプセルを開けていた。おカネが出てくる可能性はほぼほぼ運だが、俺とルタの生活費のためと思えばこれくらいへっちゃらだ。対して体はかじかみ、手は赤くなっていた。ふらふらとした足どりでちょっとした坂を下りる。そのとき、足がもつれ視界が90度曲った。衝撃を和らげようとイカ状態になる。
…間違いだった。運悪く倒れた先にはマンホール、カナアミがあった。イカ状態ならカナアミはすり抜ける、バトルやバイトのオブジェクトとしてはいつもお世話になったのに。いやだ、死にたくない、ルタに会えないなんていやだ。
そんなことを思っても体は動かない。思っていたより疲れているようだ。マンホールの中はじめじめとしていて、すこし暖かい。そんな暖かさに意識を奪われてしまった。
目を覚ませば、浮遊島のようなところにいた。そして少し先には古い一軒家のような、茶屋のような、そんな家があった。極めつけには、どこかで見たことあるような着物姿の少女がおはぎを食べていた。その子は俺を見るなり
「あれ?もしかしてじいちゃんの言ってたアルビンさんの?」
目を丸くした。その名前は…
「ど、どうして俺の父さんの名前を…」
「知ってるよ〜、おじいちゃんと知り合いだもん。」
「は、はぁ…」
俺は返す言葉を失った。冬のせいで肌寒い。頭が痛い。ああ、はやく家に帰ってルタを吸いたい。
寒さのせいで覚えていない。
「ありがと〜、それじゃ、イカ、よろしく〜〜〜」
次に聞いた言葉は彼女が嬉しそうに、見たことのない装備を渡しながら放った言葉だった。頭のまわっていない俺は、わからずじまいのまま帰路につくことになった。
4号の誕生である_。
フラフラとした足取りで家に着く。庭には少し雪が積もっていた。ひどく凍えた手で玄関のドアノブに手をかけて鍵を差し込む。
鍵が開いていた。
家出るときは鍵を締めたはず…そんな胸騒ぎを覚え、靴を脱い…だ……。
「ルタ…?」