徘徊する化学物質室外機が直射日光に当たるからクーラーが全然効かないのだと言っていた。日付が変わりそうな時間なのに、この部屋は涼しさが今ひとつ物足りなかった。暑い暑いと文句を言いながら盧笙のカッターシャツのボタンを外して、薄く湿った皮膚を舐めまわしていたところだった。懐のスマホが震える。どうせ仕事の連絡だろう。俺は画面を確認せずに通話ボタンを押した。
「もしもーし」
肩を上げて頬で端末を挟んだ。声の向こうで聞き覚えのある音が響いた。心電図モニターがピーピー鳴る音だ。電話口の人間は、憔悴しきっていそうな声色だった。俺はうん、うん………と頷きながら盧笙のスラックスからベルトを引き抜いた。目の前の薄桃色の肌が期待するようにうねった。盧笙は俺の電話の邪魔にならないよう、息を潜めて俺の顔を視姦していた。盧笙のきめの細かい皮膚を見つめながら俺は物思いにふけった。
2397