「ゔぇ〜、そんな笑わないでよぉ」
「ああ、すまないな……くっ」
「だから笑うなってば〜」
愉快な心地のまま新しくティッシュを数枚渡してやる。大体、全裸で鼻血を垂らしてべそべそ泣いている姿を前にして笑うなと言われても無理な話である。
「悪いが、傍から見れば随分と滑稽な景色だぞ」
じわじわと喉奥までこみあげる笑い声をできる限り抑え込もうとするが、口角は不随意に上がっていく。哀れなフェリシアーノは不貞腐れた顔で面白くなさそうに血を拭う。
「せっかくいい雰囲気だったのに」
「文句なら自分自身に言うことだ」
俺の服を勝手に脱がし始めて勝手に鼻血を噴いたのは他でもない彼である。どう考えても俺に非はない。すっかりしょげかえって背中を丸めて不憫なオーラを纏っているのを見て、まだ収まらない笑いを含みながらその体を抱き寄せて頭を撫でてやる。
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