ある日の洗面所にて「おー、おかえり」
帰宅して洗面所に入ろうとすると、そこには上半身裸の廉がいた。帰っていることは分かっていたが、ここにいるとは思わなくて少し驚いてしまった。
「ただいま。使ってるなら戸閉めといてくれる? びっくりするでしょ」
廉は特に悪びれずに「まだ帰ってこねーと思ったんだよ」と返事をして、ズボンにも手を掛ける。
「そ」
洗面台で手を洗い出したところで、服を脱いだ廉が風呂場に入って行った。洗面台の鏡越しにその背中を見送っていると、あるものが目につく。タオルで手を拭いて、シャワーの音が聞こえないうちに風呂場の戸を少し開けた。
「廉」
「あ? 何だよ」
素っ裸でこちらを見る廉に向けて、ちょいちょいと右の肩を指差す。
741