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    2025/08/23のモブランオンリーで公開してます。
    各寮のモブ寮生が推し寮生を語る会を放課後に開いているというお話です。
    捏造多数、変なテンションで最初から最後まで駆け抜けます。

    最後にちょこっとセベジャミいます。本当に一瞬だけ。

    モブ寮生、推しを語る会「それでは、定例モブ会議を始めます」

     ここはナイトレイブンカレッジにある空き教室の一つ。イグニハイド寮生の一言で集まった複数名の各寮生が背筋を正す。これはモブによる、モブ達の、推し寮生を自慢する一大イベントなのだ──





    「では、本日の司会進行を務めます三年B組所属、イグニハイドの僕から推し寮生を発表させていただきます」

     各寮の生徒が座る机の前に立っているのは眼鏡を掛けたイグニハイド寮生。今回参加している寮はサバナクロー、スカラビア、ポムフィオーレ、イグニハイド、ディアソムニアの寮生達だ。各寮複数人だったり一人だったり、参加人数は制限をされていない。
     この会は持ち回りで司会進行を務める。前回はポムフィオーレの二年生が務め、大盛況を収めた。実は昔からある影の伝統行事であり、歴史が古い。数年前に開催された際、サバナクローとスカラビア寮生が大喧嘩の殴り合いを経て、熱い絆を結んだのは今でも語り継がれる話である。
     それだけ生徒間では歴史が古く、語り継がれる多くの事がある程にこの学園には魅力が溢れる生徒が多いのだ。血の気が多く喧嘩っ早い者が多いのも事実だが、その猛者を束ねられるだけの実力があり憧れを抱く者も少なくはない。

    「えー、では。ごほん。早速ですがこちらの資料をどうぞ」

     わざとらしい咳払いの後に用意していたのであろう複数枚の紙を取り出す。全員が見えやすいようにと同じ用紙を各テーブルへ置く。どうやら自分が推す理由などが書き連ねられた物のようで、見出しには大きく『エペル・フェルミエくんの素晴らしさ』と書き出されていた。
     この用紙を手に各寮生達は話始まる前に内容へと目を通す。項目ごとに分かれており、どうやらプレゼンターであるイグニハイド寮生が受けたエペル・フェルミエとの出来事が書いてあるようだった。その言葉の下に「この一言に注目」「これには誰もが惚れてしまう」などの主観的なコメントも添えられている。

    「君、エペル・フェルミエといえば我がポムフィオーレの一年生ではないか!!失礼だが、君達の寮では我々ポムフィオーレと関わることが少ないのでは?しかも学年も違う!!」

     その資料を手にし、驚きの表情を隠せず震える人差し指を差し向けながら三年のポムフィオーレ寮生が声を荒げる。可愛らしい花の妖精のような見た目、小さく愛らしい可愛い後輩が選ばれた喜びよりもそういった煌びやかな存在を忌避したがるイグニハイド寮生が選び出した事がにわかに信じ難い様子だった。

    「だから手元の資料を見ろと。それにまだ僕は話していないだろ?これだから人の話を聞かない陽キャは嫌なんだ……でも、エペルくんは違う!!まずは資料の五行目から!!」

     わざとらしく片手で頭を抱えて肩を竦めるイグニハイド寮生をポムフィオーレ寮生は拳を握り締めて睨んでいた。横に座る同じポムフィオーレ寮生が宥めながら資料を手渡し読ませる。それを受け取りながら渋々着席をして、イグニハイド寮生の声に耳を傾けた。

    「『派手にすっ転んでしまった僕に人目を憚らず手を差し伸べてくれた』!!この学園において、良く嫌煙されがちなオタクの巣窟イグニハイド寮生、更には年上というオプション尽き!!それなのに優しく手を差し伸べあまつさえあの天使のような可愛らしい声で『大丈夫、ですか』と声を掛けてまで……!!あの日は成仏しかけましたぞ……!!」

     急に早口で捲し立てながらエピソードについて饒舌に語り出し、身振り手振りを加えながら興奮気味に語り切る。他の寮生はその姿をいつもの事だと見向きもせずに配られた資料へと視線を落としていた。イグニハイド寮生のエンジンの掛かり方は誰もわかっていない。いつもいきなりエンジンが掛かり、いきなり切れている印象だ。
     あの時はどういう心境で自分はこうだった、そうベラベラと語っていれば一人のサバナクロー寮生が手を挙げ、それに気付いたイグニハイド寮生は興奮から息を荒げつつ、自身の司会進行役というのを全うするため、肩で呼吸しながらゆるりと手を伸ばし発言を促す。

    「そして、……はい、どうぞ」
    「オレ、サバナクローの二年です。エペルは部活が一緒なんすけど、十一行目のここ、部活内だと良くありますよ。溌剌な笑顔ってヤツ」
    「何だと?!」
    「自慢ってワケじゃないんすけどね、へへ。オレも良く笑ってもらうんすよ……」
    「ぐ、ぐぅ〜〜〜!!羨ましいぃ〜〜〜〜!!陽キャスポーツクラブゥ〜〜〜……!!」

     鼻先を擦り照れた様子で語り出す姿にイグニハイド寮生は膝から崩れ落ち、悔しそうに床をドンドン叩きながら暴れ出す。この会に参加するイグニハイド寮生の半数は時折このような行動に出ることが多い。サバナクロー寮生はその姿を気にすることなく、どこか優越感を感じた顔で席に座り直した。
     初参加の人は今回いないようでその姿に驚く事も無く、未だに悔しそうに蹲り「エペルくんは違うんだ」と自分の世界に入っている様子からプレゼンを続けられないのを確認すると一人のディアソムニア寮生が挙手しながら椅子から立ち上がる。

    「先輩は続けられなさそうなので、次自分いっても良いですか?」
    「ああ、君は……一年生だな?聞かせてもらおう」

     未だに悔しがっているイグニハイド寮生に代わり落ち着きを取り戻したポムフィオーレ寮生が進行を変わる。ぺこりと軽くお辞儀をしてからディアソムニア寮生が全員を見回しながら口を開いた。

    「ディアソムニアの一年です、前回参加から引き続きよろしくお願いします。前回は同級生の通称『エーデュースコンビ』を推させていただいたのですが、今回は別の方をプレゼンさせていただきます」
    「エーデュースコンビから変わったのかよ」

     大体の寮生はここで継続したプレゼンをすることが多く、違う相手の名前を言うのは驚かれる。案の定サバナクロー寮生が驚いた様子で聞き返す。

    「いえ、彼らは自分の中では殿堂入りです。今回僕が紹介する人物は……オルト・シュラウドです!!」
    「オルトに目を付けるとは流石ですなぁ!!」

     殿堂入り、その単語も度々聞く。それに納得してサバナクロー寮生は頷き、ようやく落ち着きを取り戻したイグニハイド寮生がズレた眼鏡を調整しつつ、暴れていた影響でかいた額の汗を軽く拭いながらディアソムニア寮生の肩を叩く。少し気恥しそうに笑い、片手を握りしめながら熱く語りだす。

    「自分は感動しました、ヒューマノイドである彼が、こんなにも人情味溢れているだなんて!!」

     表情は語り始めよりも明らかにイキイキとしていて、頬がほんのりと紅潮し始め語り口に熱が入っていくのがわかる。隣にいるオクタヴィネル寮生はその勢いに若干引いてしまっているも、目の前にいるイグニハイド寮生はどこかわかり顔で頷いていた。自分の寮の後輩が他の寮生から推されるのは気分が良いようで、大体皆このような反応になりがちだ。
     相槌に気分が良くなると尊い出来事を大事に噛み締めるよう目を瞑り、握った拳をわなわなと震わせながら語る勢いは落ちない。

    「僕が彼に心を奪われたのはつい先日、中庭でやっていた映画研究会の活動時です。シェーンハイト先輩から演技指導を受けていた様子を見ました」

     脳裏に浮かべた情景をそのまま口から出そうと言葉を選んでいる素振りが見える。ほんのりと頬が紅潮して気持ちの昂りが伝わってくる。瞑っていた瞳をゆっくり開きながら他の先輩達へ再度視線を向けた。

    「僕は遠目から見ていただけなので会話は全くわからないのですが……一見機械だからと誰かから見れば無表情に見える姿も僕から見れば真剣に演技指導を受け、何かしらの情報を自分で処理し、それを反映させる姿。何度かリテイクを受けていたようですがようやく通った時に見せたあの笑顔。自分には人のソレにしか見えませんでした」
    「ああ……それは私も同感だ。彼の心は美しく純粋だね、ヒューマノイドなどと失礼な呼び方をするべきではない。彼こそ真に人間だ!!シェーンハイトが気に掛けるのも無理はない」

     すくっと立ち上がりディアソムニア寮生に同意を返したのはポムフィオーレ寮生だった。彼らの美意識の感覚から見てもオルトの心の豊かさは本物だと思っているようだった。わかってもらえた感動、同じ思いを分かち合った二人は、先輩と後輩という垣根を越えて自然と硬い握手を交わしていた。この光景もこの会の高齢である。
     そこからしばらくの間オルト・シュラウドに対しての熱い議論が二人によって行われた。推し紹介という名目ではあるが、度々こうして会話は熱い議論にも変わっていく。それだけその寮生に対して溢れる魅力を感じているのだろう。
     十分前後他の寮生は聞き役として徹し、時折深堀したい部分ついての質問を交え、歩い程度の話し合いが進んだところで司会進行のイグニハイド寮生が両手を二度打ち鳴らす。その合図は「一旦終了」というものだった。それが聞こえれば会話を止め、着席する。
     手の音を聞いて素直に議論が止まり、全員の視線が司会役に向いたのを確認すれば小さく満足気に頷いた。

    「よし。熱い紹介でしたが、ここでは一旦ストップで。続きは次回提出の『推し活の勧め(今年四冊目)』にて詳しく書いていただくとして……もう残り時間も僅かなので、最後の一人に発表をお願いして本日は締めとさせていただきます。絶対に紹介したい人、いますか」

     こういう時、この会ではNRCで珍しい「譲り合い」が発生する。時折どうしてもこれだけは言いたい、知ってほしいという人がいて挙手をしたりするのだが今回はいなかった。全員が全員の顔を見合わせ窺っている。
     少しの沈黙が続き、司会進行のイグニハイド寮生が解散の声を掛けようと動いた瞬間。今の今まで黙っていたスカラビア寮生がスッと手を挙げる。一拍遅れて視線をその寮生に向け「どうぞ」と手を向けた。

    「あのっ……スカラビア二年です。自分、前々回が初めてで、その時先輩に連れられて来たんですが、まだ推しを見つけられていなかったんです」

     指名されたスカラビア寮生はガタッと音を立ててその場に立ち上がり、緊張した面持ちのまま斜め下の机を見ながら喋りだす。全員の視線がスカラビア寮生に向いており、若干気まずそうだ。サバナクロー寮生に至っては強面過ぎて睨んでるようにさえ見えてしまう。しかし話には興味があるようで耳はスカラビア寮生へと向いており、尻尾が僅かに揺れている。

    「なるほど?それでも今回参加したということは無事に見つけられた、ということか?」

     横からポムフィオーレ寮生が問い掛ける。それに小さく頷けば顔を上げて、話始める前にぐるりと全員の顔を見た。その後で一つ深呼吸をすれば、視線を全員に少しずつ回しながら話す。

    「はい!今回の会は名前が出る全員、一年生ということで俺の最近見つけた推しも一年生なので紹介しようと思いまして……」
    「確かに全員一年生だ。エーデュースコンビも殿堂入りだそうだし、前回の会ではサバナクローのジャック・ハウル君も紹介されていて今年の一年生は粒ぞろいだな。……ということは」

     会話の流れから誰が紹介されるのか察しがついたイグニハイド寮生の眼鏡が窓から見える沈む太陽の光を受けて反射する。スカラビア寮生はコクリと頷いた。

    「そうです、自分が紹介するのはセベク・ジグボルト!ディアソムニア寮の一年生です!」
    「あ、アイツを推してるんですか?!」
    「意外だろ?俺もこの間まではお前側だったよ」

     この場に参加している同学年であり同じ寮のディアソムニア寮生が驚きの声を上げる。無理もないだろう、セベク・ジグボルトと言えばディアソムニア寮の長であるマレウス・ドラコニアの忠実なる臣下。デカい声で若様だなんだと叫び、他人に対しては不遜過ぎる態度で有名だ。かくいう紹介しているスカラビア寮生に対してもその態度は変わっていない。では、何がこの寮生の琴線に触れたのだろうか。この場にいる全員が続く言葉を待つ。

    「……自分、陸上部なんです。で、セベクは馬術部なんですが野外の部活同士時々見かけるんです、先日は馬術部の大会が近かったらしく出場選手全員がクラブウェアを着ていて、その中にセベクもいました」
    「あの馬術部のクラブウェアを?!」

     一瞬でこの場にいる全員がどよめいていた。先程まで静かだった室内がざわざわとし始め、動揺が走るのが伝わる。
     この学園の部活動をしている全員にクラブウェアという物がある。文化部でも発表会の時などに着ていくもので、運動部であれば絶対にあるだろう。ましてや乗馬は競技用の服装の規定がある。その服装はとてもシックで上品な物であり、我がナイトレイブンカレッジは馬術の各競技によってデザイン違いがある。
     学生が着るとどこか服に着られているような不格好な印象になる。だが、馬術部の出場メンバーは基本的に体格も良く、所作に品があるので学生だという事を忘れてしまう。そのせいか外部には馬術部メンバーを「王子様みたいだ」と写真を撮ってマジックカメラテレグラム、通称マジカメへ投稿された。その投稿が一時期多くの反響を呼び、それはこの場にいる面々も知っていることだった。

    「実物を見るまでは何が王子様だ、と思っていたんですが……あれは王子様でしか、ありませんでした……!!」 
    「大会に行かなければ基本的に見ることができないあの衣装を着た馬術部を見れたなんて、なんて君は運が良いんだ!!」
    「オレですら見たことねぇよ、マジフトだって外練ばっかりなに……!!」

     ポムフィオーレ寮生とサバナクロー寮生が同時に立ち上がったり頭を抱えたりしながら羨む声を上げ、他の面々も深くその言葉達に頷いて同意する。まだ話し足りないという様子でスカラビア寮生はオーバーなリアクションを取る二人をチラリと見た後、小さく息を飲み込んで口を開く。

    「セベクは普段の態度から問題が多く、度々他の生徒と衝突しているのを見かけますが、乗馬中は上品であり尚且つ堂々とした立ち振る舞いが目を惹くんです。あの精悍かな顔立ちで真剣に慣れた様子で指示をだし、そして」
    「そして?」
    「……競技終了後、馬に対して微笑むんですよ。よくやったなって」

     ガタガタッとその場で全員が立ち上がり、司会進行のイグニハイド寮生は大きく深呼吸をして真剣な眼差しで周りの全員へと目配せをする。意図を理解した全員が揃って頷きを返し、それを合図に片手で眼鏡のフレームをわざとらしく定位置へと戻す。

    「……本日のベスト寮生は、セベク・ジグボルトに決定!!異論のある者は?!よし、いない!!おめでとう!!」

     空き教室に大きく拍手の音が鳴り響く。その音は全員からの肯定の証であった。こうして本日の推しを語る会も無事に閉幕したのであった。
     その後各々が各寮専用の「推し活の勧め」という自由に書き記すこのとできる日記帳を広げ、その日語った内容を書き記す以外に前回に取り上げられた寮生や出来事の話を楽しむ。この本は寮の専用であり、この会に参加する者が好きに見て書くことが出来る。この本の基本的な保管場所はイグニハイド寮ではあるが、事前申請をすればいつでも持ち出し可能だ。
     そうして全員が満足した頃には陽は落ち、外は薄暗い濃紺の夜空へと変わり、学園内を見回るゴーストや教師に見つかる前に自分達の寮へと帰っていく。次の司会進行役はディアソムニア寮生に決まり、口頭での伝達と日記に記しを付ける。開催時期は秘密裏に伝達されるので今の所は未定である。

    「もう少し言いたいことあったんだけど、これはまた別の時だな」

     スカラビア寮生は闇の鏡から寮への道で一人ぼやく。それは推しを語る会で言いそびれたことだった。自分がセベクを推してるもう一つの理由。ある意味でこちらが先だったのかもしれないその理由。

    「ジャミル先輩!!」

     普段のスカラビア寮では聞きなれない大きな声、その声が呼ぶのは我がスカラビアの副寮長だ。その声がする方向へと目を向ければ黒を基調とした荘厳な寮服に身を包むセベクと、同じく赤を基調とした寮服のジャミルがいる。馬術部で見た笑顔とはまた違った、柔らかで甘さを含んだ笑みを浮かべている。
     そう、自分が彼を推しているもう一つの理由。それは、我が副寮長へ向けるあの笑顔だ。その笑顔を向けられるジャミルの表情もまた普段とは違った柔らかさを持っている。この二人の雰囲気に自分はやられ、どうか幸せになってくれと推してしまうのをやめられない。
     語り合った一日の終わりに、何て尊い光景を見てしまったのだろう。その二人の時間を邪魔しないように早足で自分の自室へ帰り、勢いよく戸を閉める。背中をそのまま戸に押し付け、ズルズルと床へと落ちていく。

    「今日も、推し活はいいな……」
    「はぁ?」

     先に部屋にいた同室の呆れた声を聞き流しながら、今日も推せる有難さをいるかもわからない神へと感謝した。
     


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    DONE2025/08/23のモブランオンリーで公開してます。
    各寮のモブ寮生が推し寮生を語る会を放課後に開いているというお話です。
    捏造多数、変なテンションで最初から最後まで駆け抜けます。

    最後にちょこっとセベジャミいます。本当に一瞬だけ。
    モブ寮生、推しを語る会「それでは、定例モブ会議を始めます」

     ここはナイトレイブンカレッジにある空き教室の一つ。イグニハイド寮生の一言で集まった複数名の各寮生が背筋を正す。これはモブによる、モブ達の、推し寮生を自慢する一大イベントなのだ──





    「では、本日の司会進行を務めます三年B組所属、イグニハイドの僕から推し寮生を発表させていただきます」

     各寮の生徒が座る机の前に立っているのは眼鏡を掛けたイグニハイド寮生。今回参加している寮はサバナクロー、スカラビア、ポムフィオーレ、イグニハイド、ディアソムニアの寮生達だ。各寮複数人だったり一人だったり、参加人数は制限をされていない。
     この会は持ち回りで司会進行を務める。前回はポムフィオーレの二年生が務め、大盛況を収めた。実は昔からある影の伝統行事であり、歴史が古い。数年前に開催された際、サバナクローとスカラビア寮生が大喧嘩の殴り合いを経て、熱い絆を結んだのは今でも語り継がれる話である。
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    DONE2025/08/23のモブランオンリーで公開してます。
    セベジャミのセベクに恋をしたモブ寮生のお話です。
    諸々捏造ありで、後半にジャミル視点に切り替わります。
    前半部分だけでも完結はしているので前半部分だけでもオッケーです。


    ※セベジャミですが付き合ってはいません。ただくっつきます。
    気に食わない。 セベク・ジグボルト。コイツはディアソムニア寮の一年生だ。オレの話を少しも聞きやしない、他の寮(オレはスカラビア寮)であるオレに対してはとても態度がデカい。
     なんならオレは三年生で先輩だというのに「おい、人間!!」と呼びつけられる。最初こそ物凄くムカついてはいたが最近は少し見え方が変わった。
     ある日の放課後、セベクがいつも通りの大声であのマレウス・ドラコニアを探していた時だ。オレは図書館に向かうところだったんだが、珍しく通りかかりに探し人であるマレウス・ドラコニアを見かけた。
     多分あの方向はコイツも図書館にでも向かうんだろうなぐらいにしか思わなかったが、一人歩いて行く姿が珍しかったからよく覚えている。セベクが今にも泣きそうな顔で「若様、どちらにおられるのですか?!」なんて叫んでいるものだからついつい声を掛けてしまった。
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    DONE「冬に備える」
    ED後生還軸
    二人で生きると決めたテデちゃんのささやかな日常と「死者の日」について。
    過去作「味を知る話」及び前作「元使用人…」を一部踏襲しています。

    構成成分:
    石化由来の身体不自由
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    テが少々不安定

    明るい話ではないかも
    上記をご了承の上、大丈夫そうな方はどうぞ
    冬に備える ガツッ、——トン、ト、ト、ト。
    家の裏手に残されている腰かけ代わりの切り株に座り込み、手鉈を振りかぶりながら大きな丸太をひたすらかち割っていく。
    半分、もう半分…これはまだ太いからもう一回。
     もう全身至る所が石化していたため節々に少しばかり固さが残るが、去年の今頃と比較すると幾分か動きやすくなってきた身体をリハビリがてらこうして動かして、最近では家の運営にかかわる事なら少しづつ携われるようになってきた。
    けれど元々細かな作業が得意かと言われればそうでもないので、街道を外れた森に分け入り獣道を進んだ末にたどり着くこの家で出来る仕事……もとい暇潰しと言えば、もっぱら掃除と薪割りと、テランスが町から仕入れてきたり隠れ家の誰がしかがストラスの足にくくりつける手紙に紛れて寄越してくれる、野菜や果樹の種を植えている小さな畑の世話ばかり。
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