AIのべりすとが書いてくれた錦安野球部に入部してから色々を経て、錦野さんと付き合う事になってあっという間に半年経った。お互い彼氏が出来るのは初めてだし、何をするにも探り探りだ。それは良い。
朝練と昼間の授業と放課後の部活の合間を縫って恋人らしい事をする事が思ったよりも体力も根気も必要で、うまいように事が運ばないのも、まあ良い。
そもそも男同士で両想いだった事が奇跡みたいなもんなんだ、大体の事は「こんなもんだ」と頭では納得できるから良い。でも一つ俺は気になって仕方ない事があった。
錦野さんは、本当に俺の事好きなのか?と。
付き合うという関係に漕ぎ着けてまで疑う事かと思ってしまうが相手はあの錦野さんだ。気さくで思いやりがあって腰が低くて人に甘い。そんな優男。流された、とか気を使った、とか、十分あり得る事だと頭に過ってしまう。それがムカつくんだ。
お情けで付き合ってるならとっとと別れて欲しい。俺はそこまで考えてしまっていた。別れるって言われたらそれはそれでムカつくんだけど…
…
部活終わりに自分の部屋で風呂とかを済ませたら部屋着のまま錦野さんの部屋に行くのがなんとなく習慣になっていた。適当に雑談して適当に寝落ちる。これが恋人同士が過ごす時間なのかはわからねえけど、1日のうち、唯一ゆっくり出来る時間を人と共有する、それでいて苦にならない、というのは俺にとっては十分特別な時間だと思った。そう。俺は、ね。
今日ではっきりさせてやる、と殺気立っていたのが伝わったのか自分から切り出す前に錦野さんに「何か言いたそうだな」と不安そうに顔を覗かれた。ちょうど良いやと、単刀直入に言い放ってやる。
「錦野さん、俺と付き合って後悔してませんか」
「してないよ」
即答。さすが次期部長と言われてるだけある。なんだその瞬発力。
「安堂は俺と付き合って後悔してるのか」質問返しされた。答えずらい。
「……いや、別に……」
「じゃあ俺も同じだよ。だからそんな顔しないでくれ」
困ったような笑顔を浮かべて頭を撫でられた。子供扱いされてるような気がして嫌だけど、なんか安心した。
錦野さんのこういう所がずるくて好きだ。多分この人には一生敵わないだろうなって思う。
それからも変わらず一緒に過ごしていたけれど、ふとした瞬間に俺は疑問を抱いた。
何度聞いても明確な答えは得られなかったし、むしろ聞く度に核心に迫っているようで、聞きたくなかった。
でもある日の昼休み。たまたま廊下で出会った錦野さんに肩を掴まれて人気の無い階段裏に連れてこられてからずっと壁ドンされている。身長差のせいでかなり怖い。
「おい、お前今なんて言った?」声色がいつもより低くて思わずビクッとする。顔が近い。今まで見たこと無いくらい怒ってるみたいだった。
「えっ……と、俺と付き合って後悔してないかって話ですけど」
「どうしてそんな事を聞くんだ。俺に不満があるのか」「不満はないですよ!ただ、ちょっと気になっちゃって。俺、あんまり自信なくて」
「……はぁー……。俺が何年片想いしてると思っとるんだお前は」
「へ?」
「好きな奴に好きになってもらう為に努力するのが当たり前だろ」「す……き?誰が誰をですか」
「俺が安堂を好きなんだよ。これで満足か」
「はい!?︎ちょ、待ってください、それ本当なんすか!」
「うるさい。もう二度と聞くんじゃないぞ」そのまま強引に唇を奪われた。
ファーストキスだってのにムードもクソもあったもんじゃない。
しかも初めて会った時から俺が好きだっただと? つまり俺は錦野さんから告白されていたのに勝手に勘違いして振って傷付けたのか。最低じゃん俺。「ごめんなさい!俺、全然気付かなくって……本当にすみませんでした」
「わかれば良い。これからはもっと大切にしろよ」
そう言って笑った錦野さんの顔はとても優しかった。