手作り料理熔熱がマグマから顔を出し、居住スペースに近付くと甘い匂いが漂っていた。心当たりの無かった熔熱は首を傾げ、匂いの元へ向かう。そこには、鍋と木べらを持ったゴエティアが居た。
「……ゴエティア。」
「ん……熔熱様? おはようございます。」
ゴエティアの隣まで歩みを進めて、鍋の中を覗く。赤いドロドロとした液体が焼かれており、甘い匂いの正体はこれだったようだ。
「何作ってたの、ゴエティア。」
「ジャムと呼ばれるものらしいです。」
そう言うと、ゴエティアは傍らに置いていたひとつの瓶を熔熱へ見せる。熔熱はそれを見て少し悩んだ後に、ハッとした様子で瓶を受け取る。
「……あ、これって、砂糖が入ってたやつ。オレのお気に入り。」
「ええ。直接舐めていらっしゃったので、どうせなら調理して美味しく食べてもらおうと思って。そのままは体に悪いですから。」
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