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    colorless_mono

    @colorless_mono

    二次創作用アカウント。成人済み。
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    colorless_mono

    ☆silencio seguir

    明智と恋人同士であるあなたに雨宮が……

    💎7/26-27開催:オールジャンル夢創作webオンリー【Dreaming of U】

    https://pictsquare.net/opi3mdhodnv9wku21zw2f6hkp6ou0h9u

    に合わせた書き下ろしの短編です。

    【P5】His palace(雨宮×夢主)「俺のパレス?」
    「そう、もしあるとしたらどんな感じなのかなって。雨宮くんの歪んだ欲望って想像できないなぁ」
    「……そう?」
    「えっ、もしかして心当たりあるの?」
    「そうだな……知りたい?」
    「うんうん!興味ある」

    身を乗り出せば、彼は小さく笑う。
    長いまつ毛が一瞬伏せられ、開いた次の瞬間。
    まるで知らない男の人みたいな雰囲気を湛えていた。

    -------------------------

    「あれ?みんなは?」

    遅れていた私は急いでルブランのドアを開けたが、中に居たのは意外にも雨宮くんひとりだった。
    彼はエプロンをつけてカウンターの中でいつものように静かに佇んでいる。カレーを仕込んでる最中なのかもしれない。

    定例試験の前。
    今日はみんなで勉強しようと坂本くんからSNSで呼びかけがあって何人か参加を名乗り出ていたはずなのだけど……

    「買い出し。竜司曰く、勉強会にはお菓子が必要だろ、栄養補給!らしい」
    「ふふっ、坂本君らしいね。……雨宮くんはカレー作り?」
    「ああ。みんなで夕飯に食べようと思って。竜司たちはさっき出ていったばかりだから入れ違いだな」
    「そっかー……佐倉さんは?」
    「帰宅してすぐに事情を話したらもう店は閉めるから自由に使っていいって。だから1階でやることにした」
    「そうなんだ。表がもう"CLOSE"になってたのはそういうわけか」

    がらんとした店内を見回す。
    カレー作りをしていると言っていたが今は香辛料の香りはしない。
    まだ野菜の準備段階なのかもしれない。

    それにしても雨宮くんとルブランに2人きりというのはとても珍しい。
    いや、ルブランという場所に限定せずとも珍しいことだ。たいてい彼氏である明智くんが一緒にいたし、モルガナもいる。

    「……そういえばモルガナは?」
    「こんな晴れた日に勉強会はつまらないからひとりで散歩だそうだ」
    「まぁ、確かにね」

    過去に何度かあった勉強会でも、モルガナは丸まって眠っていた記憶がある。
    確かにつまらないか。こんなに天気の良い日は尚更だ。どこかで日向ぼっこでもしているのかもしれない。

    私は少し逡巡した後、カウンターテーブルを選択する。
    今はがらんとした広い空間。その中には2人しかいないのに私がテーブルを選ぶのも彼を避けているようで良くない気がして。

    少し脚の長い椅子に座れば、彼がいま何をしているか見ることができる。
    予想通り、まだカレー作りの準備に取り掛かってすぐのようだった。これから切るであろう野菜がまだ皮付きの状態で並べられている。

    「先に珈琲を淹れよう。オススメで構わないか?」
    「うん、ありがとう」

    彼の淹れてくれる珈琲はいつも美味しい。素敵な提案に喜んで頷く。
    雨宮くんは微笑みで返事をし、くるりと背を向け豆を選び出した。
    ごそごそと袋のこすれ合う音がしたかと思えば、器具を調整する金属のぶつかる小さな音がする。

    (綺麗だな……)

    手慣れた美しい所作に目が離せない。
    いつもはメメントスやパレスでシャドウをなぎ倒している力強い手が、今は安らぎを与えてくれる珈琲のために動いている。

    心の怪盗団のリーダーである彼は、運命を切り開いていく強さと、心を摩耗した私たちを受け入れてくれた優しさ、相反するふたつを併せ持つ不思議な人。

    ただ、最近は面と向かって話すことが減っていた。彼は"みんなのリーダー"であったし、私には明智くんがいたから。
    だから、二人きりという久しぶりの機会に戸惑っているのが正直なところだ。

    彼は時折、私をちらりと見る。
    絶えず動かしている手元をじっと見ているのが気になるのかもと思い、所在なく視線を彷徨わせた。

    「…………」
    「…………」

    カウンターに陣取ったはいいが、話題が、ない。
    レアなシチュエーションに、沈黙が痛い。

    とりあえずごそごそと勉強道具を取り出そうとする。ゆっくり、ゆっくりと……時間をかけて。
    早くみんな戻ってきてこの静寂を豪快に破って欲しい……!

    雨宮くんは何も言わないが、私の様子を窺っているような雰囲気を感じる。敢えて彼を見ないようにしているので確信は持てない。
    だって目が合ったらまた気まずいから。
    彼がその鋭くもあり優しくもある眼差しで見つめて来るとき、心の中まで見透かされてしまいそうで少しだけ怖いと思うことがある。
    頼れるリーダーでもあるけれど、その強い意志を宿す瞳の前では少し体が竦んでしまうのだ。

    「…………」
    「…………」

    私の必死の願いも虚しく、誰かが帰ってくる気配すらない。沈黙が続いている。

    何か、何か話題を……

    「そ、そういえばね、この前考えてたんだけど……」
    筆記用具と教科書を出して、なんとなくいつも以上に丁寧に置いてみたけどそれでも時間も足りなくて思いついた話題を口にする。
    私の声に反応した彼と目が合った。
    「ん?」
    「パレスってさ、色んなスタイルあるじゃない?もし自分のパレスがあったら、どんな感じだと思う?」
    「俺のパレス?」

    怪盗団として様々なパレスを見てきた。
    常識では考えられないような姿で認知されたものたち。
    華美で傲慢で絢爛で、持ち主たちの欲望が如実に表れている場所。

    自分のパレスがあったらどうなんだろう、と考えたことがあったが一向に思いつかなかった。
    そもそも”歪んでいる”ということ、歪んでいる部分は特に自分では気づきにくいのかもしれない。
    それを才能や特技だと錯覚し、人を傷つけたり利用とすることすら策略と知らずに認知を歪めている場合だってある。

    「そう、もしあるとしたらどんな感じなのかなって。雨宮くんの歪んだ欲望って想像できないなぁ」
    「……そう?」
    「えっ、もしかして心当たりあるの?」
    「そうだな……知りたい?」
    「うんうん!興味ある」

    身を乗り出せば、彼は小さく笑う。
    長いまつ毛が一瞬伏せられ開いた次の瞬間、まるで知らない男の人みたいな雰囲気を湛えていた。

    (え……?)

    急いで目を擦ってもう1度開ければ、雨宮くんはいつもの様子で腕を組み小さく唸っていた。
    (見間違い……?)

    あんな顔つきの彼を見たことがなかった。
    あまりのレアなシチュエーションに緊張しているせいで変な幻を重ねてしまったのかもしれない。

    「場所は、そうだな……」

    私の突拍子もない疑問に雨宮くんは少しずつ答えを紡ぐ。
    とりあえず沈黙は破れそうで安堵した。変な話題かもとも思ったけど、答えてくれそうな様子だ。

    「場所は……ここだろう」
    「ルブラン?」
    「ああ。悪い大人を懲らしめるという自分の欲望が反映されたの怪盗団のアジトだからな。東京に来てからの場所としては一番馴染み深いし」
    彼は確信を持って頷く。
    「確かに。じゃあ、ここを何だと思ってるの?」
    「新築の戸建て……かな。厳重な金庫がある……かも」
    新築?ルブランは確かに年季の入った建物だからそれをリフォームしたら、みたいな感じかな?
    それにしても金庫は想定外だ。雨宮くんは意外にも倹約家なのだろうか。
    「金庫って……カネシロみたいな?」
    「いや、そうか、さすがに金庫で暮らすのは嫌だよな。じゃあ、もっと住み心地の良い部屋にしよう」
    彼は小さく笑う。皆といるときの笑顔とは少し違う、何か”いいこと”を思いついたような無邪気な表情だ。

    「? 住み心地の良い部屋……具体的だね。なんか既にどんな場所か想像できてるみたい」
    「ああ。俺の心にある欲望が酷く歪んでいる状態の場合だろう?それなら、そうなる」
    「……どうして?」
    「現時点では手に入らないものを強引に手に入れた俺は、それを大切な場所にしまって決して出そうとしないから。歪んでいるだろう?」
    彼もそんな風に思うことがあるんだ。
    強い欲望を滲ませた斜め上の答えに言葉が見つからず、その言葉に頷くことはできなかった。
    「その……お宝は誰にも渡さない、ってこと?」
    数秒の沈黙の後、どうにか声を絞りだす。
    ふと思いついただけの、重苦しい時間を繋ぐためだけの話題だったはずなのに、なんだか話がおかしな方向に進んでいる気がする。
    「そうだな。こう見えて独占欲がとても強いんだ」
    彼が口元を綻ばせる。自分のそんな一面が露呈してしまって少し照れている……そんな印象。
    「そうなんだ……意外かも。雨宮くんの欲しいものってそんな高価なものなんだ?」
    確かに高価なものなら秘密の場所にしまって出したくない気持ちわかるから歪んでる、とまでは言えないかも……
    と思った矢先に、彼は意外な情報を追加してくる。
    「んー……お金では買えないだろうな」
    「えっ、そんなに価値があるものってこと?お金で買えないんじゃ、どうやって手に入れるの?」
    欲望で作り上げたパレスの中にしまっておきたいお宝なんて、名立たる画家の名作レベルなのではないだろうか?
    まさか彼は本当に”怪盗”になるつもりなの……?
    実は小さい頃から憧れていて、とか……!?
    前の学校に居た頃の話は教えてくれたけれど、その前の彼の過去は知らない。もしかしたら自分が思ってるよりもっと野心を秘めた人なのかもしれない。

    ミステリアスなリーダーの隠されている心の中に、一瞬のうちにあらゆる妄想が蔓延る。
    想像の中のどんな姿にもなれてしまいそうなのが彼なのだ。

    ―――しかし降ってきた答えは全く違うものだった。

    「そうだな……試してみるか?」
    ミルで挽かれ細かくなった豆に湯を注ぎながら、彼は穏やかな表情で言う。
    その瞳はただ落ちていく雫だけを見つめているから、最初は自分に問いが投げかけられていることに気づかなかった。
    「え……?」
    意図を掴み切れず返せば、今度はこちらにしっかりと顔を向ける。何か言いたげな表情で。
    束の間の静寂に、ドリップの音だけが響く。
    「……君はいま明智と付き合ってるんだろう?」
    「う、うん」
    静けさを裂き、突然出て来る明智くんの話題。ドキリと心臓が跳ねた。雨宮くんの表情からは何も読み取ることができない。
    「ここ」
    彼は自身のの首筋を指差す。
    「さっきからちらちら君の見えてるソレ。気になって仕方なかった」
    「な、なに?」
    「キスマーク」
    「えっ、嘘……!」
    慌てて制服の襟元をずらし、彼の指している場所を隠そうとする。昨夜の出来事が脳裏に蘇る。
    こんな見えそうな場所につけるなんて、と明智くんに抗議したのだ。彼にしては珍しかったから。
    彼は笑って謝って、それで終わりのはずだった。

    確か下校する前に確認したときは大丈夫だったはずなのに……!
    勉強会に遅刻してはいけないと走ってきたときに思いがけず制服がずれてしまったのかもしれない。
    同性ならまだしも―いや、同性でも恥ずかしいけど―異性に指摘されるなんて顔から火が出そうだ。
    雨宮くんは一体何のつもりでそんなこと……気まずくて俯いてしまう。

    「はい。珈琲が入ったよ」
    私がおろおろしている間に、彼はカウンターからフロアに出ていたらしい。
    背後から声がして驚く。
    「あ、ありがとう」
    いつもならカウンター越しに置いてくれるのに、なぜ彼はフロアに?
    考えている間に後ろから手が伸びてきて、目の前に湯気の立ったカップが置かれる。
    コトリと音を立てた陶器の中から立つ香ばしい匂いが、高揚した気持ちを和らげてくれる気がする。
    しかし、そんな気持ちにさざ波を立てる深い声が響く。
    「怪盗なら、欲しいものは奪えばいいのに……俺は何してたんだろうな」
    「……どういう意味?」
    自嘲気味に呟かれた言葉に、ゆっくりと背後の彼を振り返る。座る私を見下ろす彼の瞳は見たことのない色香を湛えていて、胸が高鳴る。
    まるで知らない人のよう。怖いような、それでいて抗いがたいような、魔性の色。
    「俺が君をあいつから奪ったら、俺たちの家に閉じ込めるんだ。そう、新しくて綺麗な一軒家がいい。新婚夫婦みたいに」
    「え……」
    「誰の目にも触れないよう金庫に入れておきたいとさえ思うよ。だってこんなに美しい君が誰かの目に触れたら危険だろう?」
    すぐに狙われてしまうだろうね、と続ける彼の声。
    「あ、雨宮くん……?」
    「もう、誰にも奪わせない」
    「じょ、冗談…でしょ?」
    張り詰めた空気を和らげたくて笑って言っても、彼は顔色を全く変えない。
    「冗談でこんなこと言ったりしないさ」
    知らない瞳が妖しく細められる。

    私たちをいつも導いてくれるリーダーが、許せない大人たちに正義の鉄槌を喰らわすことにだけ尽力しているように見えていた彼の心の内が、こんなにも真っ直ぐ自分に向けられていたなんて想像できただろうか?
    しかも彼の言うようにその欲望は非常に歪んだ形となり私の心を侵し始めている。
    「無意識に俺を煽る君に、ずっと触れたいと思ってた」
    「そ、そんなつもりないよ……!」
    「ああ、無意識だってわかってる。でも君はずっと俺の心を掴んで離さない。俺の心は奪われたままだ」
    言いながら彼は手をこちらへと伸ばし、私の髪と首の間に手を差し入れる。
    「!?」
    大きな掌を直に感じて体が震える。逃げればいいのに、彼の瞳に射抜かれたまま動くことが出来ずただ見つめあう。
    「何、するの……?」
    「俺の欲望を聞いて、幻滅した?」
    「ち、ちがう……幻滅はしない、けど……」
    彼の心の内を包み隠さず晒され、一体これからどうやって彼に接すればいいのだろう。
    ずっと自分と彼との間に小さな壁があるように感じていたのに。
    そんなに熱っぽい瞳でそんなに見つめられたら、学校に居る時も怪盗団の活動をしているときも、彼を意識してしまうかもしれない。
    それでも活動を続けなきゃならないし、他の皆との和も乱したくない。それに私には明智くんという彼氏がいるし、彼だって怪盗団の一員だ。

    一瞬でこんなにも複雑な事情が頭を過るのに、当の彼はまるで関係の変化を恐れていないよう。
    むしろ、私を刺激することによって事態を変えようとしているようにさえ感じる。
    彼の指が髪を小さく梳く。
    「っ…………」
    彼の体温を感じながら、何も出来ずに震える。
    もうすぐみんな帰ってくるかもしれない。早くこの状況を打開しなくては。
    「手……どかしてくれたら、全部聞かなかったことにするから……だから……」
    乞うように言えば、彼はふと笑う。
    「ふっ……それは聞けない願いだな」
    瞬間、大きな手は私の希望に反して動く。
    さっき直したばかりの襟元を指先で強引に寛げ、そこにアツくて柔らかいものが押し当てられる。

    「っ!」

    ちゅうっ……

    小さな痛みを感じて、彼がしたことを理解する。
    「……明智のよりうまく付けられたな」
    熱が首元から離れる瞬間、耳を擽る熱い吐息。わざと私の羞恥を煽るように。
    彼の強引さに眩暈がする。うまく息ができない。
    「綺麗だ」
    そこを指でなぞって笑う。
    相変わらず金縛りにあったみたいに動けず、彼の満足げな表情を見つめることしかできない。

    「これは予告状だ。あいつから、君を頂戴しよう」


    END
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