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    じじぽて

    『糖度あふれる未来図を2』開催おめでとうございます。
    こちらは突貫工事で作成した作品ページになります。

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    じじぽて

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    !!カッコいい轟焦凍はおりませんのでご注意ください!!

    轟家(主に冬美さんと夏雄くん)が末っ子の恋愛を応援するお話です。
    完全にギャグです。色々な人がキャラ崩壊してます。
    まだ完結しておらず、ケツ叩きの為に序盤のみアップ致します。
    (なので緑谷くんは名前しか出てきません…)
    完成後はpixivに投稿予定です。
    タイトルからして寒気を感じた方は遠慮せずお戻りください。

    女性が選ぶイケメンヒーローNo.1な弟の素顔がエグい天然だと言うことは世間様に絶対バレてはいけない件 クリスマス、お正月、そして昨日は成人式。
     慌ただしい行事も一段落し、始終浮ついていた街の雰囲気は、漸く日常に戻ろうとしていた。
     ヒーローとして年末からずっと大忙しだった焦凍は仕事終わり、電車を乗り継ぎある場所へと向かっていた。
     
     
     

     
    『女性が選ぶイケメンヒーローNo.1な弟の素顔がエグい天然だと言うことは世間様に絶対バレてはいけない件』
     

     
     
     
     閑静な住宅街。
     人を寄せ付けない物々しい雰囲気の実家の様相とは打って変わり、モダンでどこか温かさを感じる、とある一軒家の前に焦凍は立っていた。
     
    「お帰りなさーい!」
    「ただいま、姉さん」
    「焦凍が帰ってくるの、ずっと待ってたのよ〜。ケガ無くて良かった!」
    「待たせて悪りぃ」
    「気にしないで! さ、入った入った!」
     
     先日無事成人式を終え、本日、1月11日をもって正式に20代の仲間入りを果たす焦凍を、現在の住処に呼んだのは冬美だった。
     曰く、誕生日の予定を聞いたら特に何もないと返されたので、それなら成人祝いも兼ねてとっておきのお酒を飲もう! と発案したのがきっかけだ。
     ここに来るのは初めてではないので、焦凍はスタスタと洗面所に向かい手洗いうがい済ますとリビングの扉を開けた。
     そこにはローテーブルに座り穏やかな顔で笑っている母と、取皿らしきものをセッティングしている夏雄がいた。
     
    「ただいま、母さん、夏兄」
    「おかえりなさい、焦凍。今日も無事で良かったわ」
    「焦凍お帰り〜。腹減ったろ、早くメシにしようぜ。俺、奮発して蕎麦に合う日本酒用意してんだぞ〜」
    「ありがとう」
     
     焦凍は羽織っていたグレーのコートを脱ぐとキッチン前に設置されている椅子に無造作に置き、2人がいるローテーブルへと向かった。
     テーブルの上には蕎麦を中心に色とりどりのおかずが置かれ、その脇には恐らくアルコール飲料だろうと思われる瓶や缶が大量に鎮座していた。
     
    「母さん、姉さん、夏兄、今日は俺のためにわざわざありがとう」
    「こちらこそ、仕事終わりで疲れてるのにこっちまで来てくれてありがとね!」
    「母さんと姉ちゃんが張り切って色々作ってくれたんだぜ。ま、蕎麦打ったのは俺だけど」
    「夏兄の蕎麦、美味そう」
    「蕎麦に合う酒も用意してんだ。合法的に飲めるようになったんだ、色々飲み比べてみようぜ!」
    「さぁ皆で頂きましょう」
     
     家族4人で囲む食卓。
     それだけでも十分嬉しいのに、今日は焦凍の誕生日を祝うべく皆集まってくれた。
     焦凍は胸の中が温かい何かで満たされるのを感じた。
     焦凍は小さく「いただきます」と言うと、まず手始めに、夏雄が作ってくれたという蕎麦に口をつけた。
     
    「うめぇ」
    「口に合って良かったよ。これがさっき言ってた蕎麦に合う日本酒なんだけど早速飲んでみるか?」
    「ああ、頂く」
    「焦凍、こっちにはお母さんが去年の夏に仕込んだ梅酒があるよ」
    「ああ、後で頂く」
    「焦凍がどんなお酒を好むか分からないから、お母さんスーパーでいっぱい買ってきちゃった」
    「あぁ、後で頂く」
     
     部屋の脇にいたアルコール類が、焦凍の眼前にどんどん並べられていく。
     
    「明日、焦凍仕事休みだったよな?」
    「今日の代わりに明日休む事になった」
    「ねーちゃんも俺も明日休み取ってるから、ゆっくりできるな」
    「私も夏もお酒強い方だから、焦凍もきっと強いんだろな〜」
    「ふふ、焦凍が我が家で1番強いかもね」
     
     こうして家族4人でのささやかな誕生日パーティーは開催された…のだが。
     数時間後に予想外の展開が待ち受けることを、この時の4人は知る由もなかった。
     
     
     
     
     +++
     
     
     
     
     
    「どうしてこうなった」
     
     乾杯の合図から1時間程経った頃。
     冬美は眼前に広がる光景がにわかに信じ難く、思わず呟いた。
     
    「なつにぃ、おかあり」
    「焦凍もうやめとけ!」
    「なつにぃおれはらいじょうぶだ」
    「全然大丈夫って顔してねーよ! 姉ちゃんも止めてくれよ!」
    「焦凍って意外とお酒に弱かったのね」
    「母さん何を呑気な…!」
     
     あれから焦凍は、夏雄や冬美に勧められるままアルコールを煽った。
     その結果、乾杯をしてから30分後には見事な酔っ払いが完成した。
     
    「今回の敗因はちゃんぽんにあると姉さんは思う」
    「お仕事帰りだったから余計疲れちゃったんでしょうね」
    「おかあり」
    「焦凍もうやめとけって、ほら、水飲もう水」
    「ん」
     
     焦凍は夏雄から水の入ったグラスを受け取ると、グラスを握りしめたまま舟をこぎ始めた。
     
    「しかしまぁ、イケメンヒーローランキング新人部門にランクインするぐらいの子が、これほどお酒に弱いとはねぇ。女の子達がますます放おっておかなさそう」
     
     目の前で揺れる焦凍を見つめながら、冬美は右手に芋焼酎(※ロック)、左手にあたりめを持ちながら昔の焦凍を思い出していた。
     
     焦凍は小さい頃から異性にモテていた。
     それはもう非常にモテていた。
     本人の自覚は無かったようだが、小中と非公式ファンクラブまで設立されていたのが良い証拠だ。
     道を歩けばすれ違いざまに黄色い声を浴び、電車に乗ると隣に冬美がいるにも関わらず逆ナンされ、都会に出るとモデルスカウトの名刺を山程渡されたりと、エピソードには事欠かない。
     雄英高校に入学してからは寮生活ということもありそういった情報は冬美の耳には入ってこなかったが、卒業してからはこうしたランキング雑誌に度々特集を組まれる程にまで認知されている辺りをみると、今も変わらずにモテているのだろう。
     
     そうなると、気になってくる事が1つ…
     
    「焦凍は彼女いるのかな?」
     
     冬美は芋焼酎(※ロック)のおかわりを手酌で注ぎながらポツリと呟いた。
     
    「流石に彼女いたら今ここにいないでしょ」
     
     夏雄はさも当たり前かの様に、焦凍の介助ですっかり炭酸が抜けたビールを煽りながら答えた。
     
    「そりゃそうだよね〜」
     
     冬美と夏雄は次々とあたりめを口にしながらガハハと笑いあった。
     と、その時。
     今までニコニコと冬美と夏雄の話を聞いていた冷が、突然口を開いた。
     
    「本当にそうなのかしら。ちゃんと焦凍に聞いてみないと。ねぇ焦凍、あなた彼女さんはいないの?」
     
     冷がふらふらと揺れている焦凍の背を優しく撫でながら問うと、ポツリと呟いた。
     
    「…いねぇ」
    「じゃあさじゃあさ! 好きな子とかいないの?!」
     
     今がチャンス! とばかりに、がばりとテーブルから身を乗り出した冬美は、満面の笑みで問うた。
     
    「姉ちゃんやめとけよ! 母さんの前だし、何より酒に酔ってるやつに無理やり聞くのは…」
    「…い、る」
    「「えーーー!?!?」」
    「あら素敵」
     
     予想外の答えに冬美と夏雄は飛び上がらんばかりに驚き、冷は口元に手を当て、驚きはしている様だがその目は優しく弧を描いている。
     
    「ちょ、え、誰? 私たちの知ってる人?!」
     
     愛しい末っ子の初めての恋バナ…弟思いの姉兄はこれに食いつかない訳が無かった。
     焦凍は俯きながらではあるが、小さな声で「うん」と返した。
     
    「「きゃー!!!」」
     
     あまりの興奮に、冬美に加え夏雄までも黄色い声をあげた。この2人、見かけ以上に酔っている。
     
    「ってことは誰だ〜事務所の人かサイドキックの人か?!」
    「…ちがう」
    「有名人って可能性もあるんじゃない? 例えばこの前CMで共演してた女優さんとか?!」
    「…ちがう」
    「姉ちゃんその人より先週発売の雑誌で対談してたヒーローマニアのアイドルの方が可能性高くないか?!」
    「…ちがう」
     
     たかが外れた大人2人のテンションは、酔い潰れた焦凍を置き去りにしてどんどんヒートアップする一方だ。
     とその時、にこやかな顔をしながら話を聞いていた冷が徐ろに口を開いた。
     
    「あなた達、少し落ち着きなさい。焦凍が言い辛い事かもしれないでしょ、勝手に話を進めてはダメ」
     
     普段は穏やかで物静かな母だが、きちんと言うときは言う。
     最低な父のせいで心を病んでしまった時期もあったが、今はこうして穏やかな日々を送り、暴走する自分達を止めてくれまでした。
     冬美と夏雄は母からの一言でハッと我に返り、居住まいを正した。
     焦凍の気持ちを無視して先走ってしまった。
     こんな調子では、折角の誕生日なのに焦凍が気を悪くしてしまう。
     とりあえず落ち着かなければ。
     
    「ごめんなさい焦凍、私、嬉しくてついつい暴走しちゃった」
    「俺も調子乗った、すまん焦凍」
    「デリケートな内容だしこれ以上の詮索は」
    「みろりや」
    「「へ?」」
     
     冬美の話を遮り言葉を発した焦凍だが、未だに俯いたままなのと呂律が回っていないのとが相まって、ほとんど聞き取れなかった。
     
    「えっと…、焦凍はみろりちゃんって子が好きなのか?」
    「夏雄、知ってる?」
    「いや思い浮かばないなぁ〜。ねーちゃんは?」
    「うーん…私も特には…」
     
     夏雄と冬美は顎に手を当てながら、2人して同じ方向に首を傾げた。
     その様子を見ていた冷は突然クスクスと笑いだした。
     
    「フフフ。焦凍あなた、緑谷くんの事が好きなのね。お母さんも緑谷くんの事大好きだから、とっても嬉しいわ」
     
     
     みろりや…みろりや…みどりや…緑谷…
     
     
     まさか、焦凍の好きな人というのは…
     
     
    「え、え、焦凍、もう1度確認なんだけど、焦凍の好きな人って、高校の時の同級生のあの緑谷くんなの?」
     
     顔を伏せていた焦凍はゆったりとした動作で顔を上げ冬美に視線を合わせると、柔らかな笑みを浮かべながら「うん」と呟いた。
     
     母が居なくなってしまったあの日から、焦凍は常に独りであろうとしていた。自分1人で轟家の全てを背負い込もうとしている様に見えた。そんな焦凍を見て何とかしてあげたいと思いつつ、今一歩踏み込む勇気をもてないままずるずると時が過ぎてしまった。
     そんな焦凍が雄英高校に入学し友人ができ、社会人となる事すらすごいと思うのに、家族に心を許し、好意を寄せる相手の存在を教えてくれた。
     かつて憧れた家族の形をなんの迷いなく受け入れてくれる焦凍に愛しさが募り、冬美は涙が溢れそうになるのをぐっと堪えた。
     その代わりに、机の上に置いていた芋焼酎(※ロック)を片手で持ち上げると、グヒグヒグビと勢いよく飲み干し、湧き上がる様々な感情を一纏めにして呼気と共にプハーッと勢い良く吐き出した。
     
    「そっか、緑谷くんか…。うん、とってもお似合いだと思う!」
    「俺もそう思う!ところで、焦凍は緑谷くんに自分の気持ちを伝えようとか思ったりしないのか?感じからするに、結構長く片想いしてるんじゃねーの?」
     
     焦凍がいつ彼への気持ちを自覚したのかは分からないが、決して軽い気持ちからではない事は焦凍の性格から明らかだ。
     
    「…わかんねぇ」
     
     焦凍は酒の入った徳利を見つめながら自嘲気味に呟いた。
     
    「きもちをつたえるのが、こわい…」
    「でも、付き合いたいとかは思うんでしょ?」
    「おもう…けど、ことわられたら…いきてけねぇ」
     
     そんな大袈裟な…とは、冬美も夏雄も決して思わなかった。
     焦凍にとって緑谷がどれほどの存在なのか、痛いほど理解しているからだ。
     先程まで明るい雰囲気だった居間が、一気に静まり返ってしまった。
     どうしたものか…と考えあぐねている中、冷がぽつりと言葉を発した。
     
    「知ってもらったら?」
    「「「へ??」」」
    「緑谷くんに、焦凍の素敵なところをもっと知ってもらったら?」
    「なるほど、それ良い案だわお母さん!」
     
     もっと知ってもらうとは???
     未だ冷の言葉が理解できない夏雄と焦凍は、2人揃って同じ方向に首を傾げた。
     
    「だーかーらー! 焦凍はこんっっっっなにも素敵でイケメンなんだから、焦凍の魅力を全力アピールしたら、緑谷くんもきっと焦凍のことを好きになってくれるはずってことよ!!」
    「なるほど?!」
     
     冬美は手に握りしめていた焼酎グラスをドンッと机の上に置くと、ガバリと勢いよく立ち上がり、人差し指を焦凍と夏雄にビシッと向けた。
     
    「焦凍! 緑谷くんとお休みの日の予定合わせて! そして決まり次第私に連絡!」
    「お、おぅ」
    「夏! 彼女さんと一緒に行ったことあるデートスポットをリストアップ!
    「ちょっと、それは恥ずかし…」
    「返事は!?」
    「はいっ!!」
    「うふふふふ、冬美ちゃん、なんだかとっても楽しそう」
     
     冬美は、先程机の上に置いた空の焼酎グラスと中身が1/4までになっている酒瓶を持ち上げると、自身の目の高さまでグラスを持っていき波波と焼酎を注ぎ(少し溢れている)、腰に手を当て勢いよく飲み干した。
     
    「くぅーッ! さ、2人ともいい?! ねーさんが、かんっっっぺきな計画を立てるから大船に乗ったつもりでいてね!!! はい、エイエイオー!!!!」
    「??? えいえいおー?」
    「声が小さい!!! 焦凍も一緒に!!! はいせーの!!!」
    「「エイエイオー…」」
     
     冬美は一体何を思いついたのか…今のところ全く理解出来ないが、なんだかんだで一番酔っ払っていたのは姉ちゃんだったのかもしれない…そう思う夏雄であった。
     
     


    つづく



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    じじぽて

    DONE!!カッコいい轟焦凍はおりませんのでご注意ください!!

    轟家(主に冬美さんと夏雄くん)が末っ子の恋愛を応援するお話です。
    完全にギャグです。色々な人がキャラ崩壊してます。
    まだ完結しておらず、ケツ叩きの為に序盤のみアップ致します。
    (なので緑谷くんは名前しか出てきません…)
    完成後はpixivに投稿予定です。
    タイトルからして寒気を感じた方は遠慮せずお戻りください。
    女性が選ぶイケメンヒーローNo.1な弟の素顔がエグい天然だと言うことは世間様に絶対バレてはいけない件 クリスマス、お正月、そして昨日は成人式。
     慌ただしい行事も一段落し、始終浮ついていた街の雰囲気は、漸く日常に戻ろうとしていた。
     ヒーローとして年末からずっと大忙しだった焦凍は仕事終わり、電車を乗り継ぎある場所へと向かっていた。
     
     
     

     
    『女性が選ぶイケメンヒーローNo.1な弟の素顔がエグい天然だと言うことは世間様に絶対バレてはいけない件』
     

     
     
     
     閑静な住宅街。
     人を寄せ付けない物々しい雰囲気の実家の様相とは打って変わり、モダンでどこか温かさを感じる、とある一軒家の前に焦凍は立っていた。
     
    「お帰りなさーい!」
    「ただいま、姉さん」
    「焦凍が帰ってくるの、ずっと待ってたのよ〜。ケガ無くて良かった!」
    「待たせて悪りぃ」
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