珍しい誘い「今夜付き合えよ」
いつぞや聞いた事がある様な誘い文句だった。私は快諾するとガルマにじゃあ後でと片手を上げその場を離れた。おそらく良い酒でも手に入ったのだろう。幸い明日はこれと言った執務も無い珍しい日だ。付き合ってやるとしよう。
約束の時間が来たのでガルマの私室の前に来て声を掛ける。ほどなくして返事が来て扉のロックが解除される音がした。
「ガルマ、今日はどんな…っ!?」
部屋に踏み込み、声を掛けた瞬間唇を塞がれる。完全に不意打ちだ。薄く開いた口内に熱い舌が侵入してくる。静かな部屋には2人分の息づかいと厭らしい水音だけが響いた。しばらくして、名残惜しそうに唇が離れる。
「ガルマ、付き合え…とはこういう意味だったのか?」
「ん…嫌だったか?」
やや上気した頬で色気のある表情をしたガルマがくすりと笑う。すかさずまた唇を奪って、彼の身体をすぐ近くのベッドに押し倒した。
「…いや、付き合うとも。君から誘うなんて滅多にないからな」
「ふふふ…そうかな、私にだってそういう気分になる時はあるよ」
夜は長い。この甘美なる一時を楽しもうじゃないか。