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    くろん

    @k_rn35

    サン星サン沼にずぶってる20↑

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    くろん

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    サン星。サンポと付き合い始めた星ちゃんが、なのかに認めてもらうべく頑張ろうとする話。あくまで「頑張ろうとする」だけ。ギャグです。

    #サン星
    Sampostelle
    ##未ログ

    お付き合いはじめました 星穹列車のなのかの部屋で、星は部屋の主とひざを突き合わせていた。時折ふたりが身じろぎする衣擦れ以外には何の音もしない静かな時間が流れている。
     自分から「話したいことがある」と持ちかけたくせにずっと黙りこくっている星のことを、なのかは急かすこともなく待ってくれていた。いい加減に言わなくてはと意を決して口を開くも、結局は「あのね」としか言えなくてすぐにまた閉じる。どうしても勇気が出なかったのだ。
     たった一言告げるだけなのに。たった一言――サンポと付き合い始めた、と。
     叶うはずもないとほとんど諦めていた想いが奇跡的に成就して、星がサンポと恋仲になったのはつい最近のことだ。仲間たちに打ち明ける前に、同性で歳も近いこともあって特別に仲の良いなのかには先に一対一で話しておきたくて、こうしてわざわざ場を設けたのだ。
     けれどいざとなったらまるで言葉が出なかった。反対されたら、別れろと言われたら。そんな想像が頭をよぎってはその度に言葉を呑み込んでしまう。なのかには以前に一度サンポに騙されないようにと忠告されているし、星がサンポの話題を口に登らせることにあまりいい顔をしない。想像が現実になる可能性は高かった。
     だけど、と星は腹にぐっと力を入れた。
     星は決していい加減な軽い気持ちでサンポと恋人になったわけではない。幾度も悩んで苦しんでもがいて足掻いて、そうしてようやく結んだ縁だ。仲間に隠れてこそこそと付き合うような真似はしたくなかった。この人が私の大切な人だと、胸を張ってそう堂々と言える関係でありたかった。
     ――そして何より、仲間に自分たちの関係を話していいかと聞いた時の、一瞬虚を突かれたような顔をしたサンポがどこか泣きそうな顔でくしゃりと笑ったあの時の記憶が、星の背中を押した。
    「実はね……私、サンポと付き合うことになったの」
     震える声で絞り出した星の言葉に、なのかは目を見開いて硬直する。え、という愕然とした響の呟きがその口から漏れた。
     案の定、芳しくない反応だった。
     それでも諦めることなどできない。膝の上で強く握りしめていた手に一層力を込めて、星が再び口を開こうとしたその瞬間。
    「あんたたちってとっくに付き合ってたんじゃなかったの!!!!!?????」
     なのかの聞いたこともないような大声が列車に響き渡り。
     思いがけないリアクションに呆然とする星の耳に、ラウンジにいる仲間たちの「えっ」という何とも見事なユニゾンが聞こえた。


     その後、サンポの話をするたびになのかが微妙な顔をしていたのは惚気だと思って生温かい目になっていただけだと判明したり、「付き合い始めてからどれくらいで報告されるか」の賭けに全員仲良く敗北したため何故か賭け金が星の総取りとなったりしたのは、また別の話。
     そして同じ頃、ほわほわと背景に花を飛ばしたサンポがナターシャに「星さんとお付き合いすることになったんですよ〜」と惚気てなのかと全く同じリアクションをさせ、下層部中から「えっ」の見事なユニゾンをもらったというのもまた、別の話である。
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    くろん

    DONEサンポワンライ参加作品
    サン星でお題「ひと夏の…」

    常夏の星のリゾート地で星ちゃんとサンポが邂逅する話。舞台の星は完全に捏造です。
    エンドレスサマー「そこの美しいお姉さん、僕とひと夏のアバンチュールなどいかがでしょう?」
     何とも陳腐なセリフのナンパだった。普通なら黙殺するそれに足を止めたのは、その声に嫌というほど聞き覚えがあったからだ。
     振り向いた先は案の定、こちらも見覚えがありすぎるほどある顔だった。だが格好の方はいつものよく分からない構造の服を脱ぎ、水着姿に薄手のシャツを一枚羽織っているだけの見慣れぬ姿だ。確かにこのいかにも青い海! 白い雲! といった風情の海水浴場にはふさわしい服装だろうが――そして顔が無駄にいい分とても様になってはいるのだが――、思わず何か苦いものを飲み込んだような顔になった自分は悪くない、と思う。
     氷の星たるヤリーロ-Ⅵに夏の象徴的存在である海水浴場などあるはずもなく、ここは当然かの星とは別の惑星である。しかし私は、どうしてここに、と問うつもりはなかった。この男が神出鬼没なのは今に始まったことではなく、どうせ期待したような返事はもらえないのだからいちいち聞くだけ時間の無駄だ。代わりに、今このシチュエーションに最もふさわしい言葉を口に出す。
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