Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    thiramisu10like

    @thiramisu10like
    何でも許せる方向け。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 134

    thiramisu10like

    ☆quiet follow

    ヤンデレ赤司くんです。でも何かおかしくなったな

    黛と赤司の仲は決して良くはなかったが、悪くもないというのが黛の中の評価だった。一年生と主将と、その主将に言われるがまま出戻りした三年生の先輩としては至って普通の関係だったはずだ。一緒に過ごすことが多いのは黛の影が薄いという特性に対処できるのが赤司だけだったからだし、アイコンタクトの練習も兼ねていた。だというのに、赤司と仲がいいとあらゆる人間から何度も言われることへ黛は疑問を持つべきだったのだ。
    「千尋」
    名前を呼ばれて思わず叫びそうになるのを、両手で口を抑えてなんとか堪えた。赤司はそんな黛の様子もお構いなしに近づいてきて、逃げ出したい気持ちでいっぱいになる。
    「こんな所にいたんだね。僕と二人っきりになりたかったのかい? ふふ、屋上はもう千尋がいると知ってしまってる人がいるからね。でもここなら誰も知らないし二人きりだ。邪魔されることもないよ」
    「ひっ……」
    耳元で囁かれて鳥肌が立ちそうになった。逃げ出そうとしたが背後には壁があり、追い詰められてしまう。
    「そんなに照れないで? 壁に追い詰めてしまうと我慢が効かなくなる。それとも誘っているのかい? かわいいな千尋は……」
    赤司の顔が近づいてきて黛の首筋をぺろりと舐めた。あまりの出来事に固まってしまっていると今度はちゅっ、とキスを落とされる。
    「うわあああっ!!」
    我に返った黛はその頭を思い切り叩いた。しかし、さすがキセキの世代のキャプテンと言うべきか、全くダメージを受けていなかったようだ。
    「酷いじゃないか。悪い子にお仕置きが必要かな? 僕の言うことは絶対だよ?」
    にこやかに言い放った赤司だが目が笑っていない。黛は背筋が凍るような思いをしながら震え上がった。
    「かわいい千尋、怯えることはないよ。お前に酷いことなんて僕がするはずないんだから。千尋の気持ちなら全部わかってるからね。愛してるよ千尋」
    「んうううっ!?」
    赤司は再び黛に近づくとその唇を奪った。抵抗しようとしたが腕を掴まれてしまい、身体を引き剥がせない。
    「ふふ、やっと大人しくなったね。本当にかわいい。好きだよ千尋」
    赤司は黛の頭を優しく撫でると再び唇を重ねた。舌まで入れられて口の中を犯されながらも黛は必死に抵抗する。
    (赤司がヤンデレなんて聞いてねぇぞ!)
    黛が舌を噛むしかないのかと考えだした頃、赤司はようやく離れた。
    「いけないな、これじゃあご褒美だ。お仕置きは部活後にお前の部屋で行おうか。……それもご褒美になってしまうかもしれないけどね」
    顎を持ち上げられて目を覗き込まれる。その瞳の奥に狂気を感じ取って黛は息を呑んだ。
    (なんでこうなったんだよ……。どうしてオレばっかりこんな目に合うんだ?)
    黛は自分の運の悪さを呪いながら、赤司の気が済むまでキスを受け入れるしかなかった。
    赤司は何も最初からこうだったわけじゃない。最初からこうだったのかもしれないが、少なくとも黛の前ではただの偉そうな後輩だった。
    しかしある日寮の赤司の部屋に呼び出されたかと思うといきなり押し倒されてキスされたのだ。あの時は本気で貞操の危機を感じた。もちろん抵抗したが、力で敵う相手ではなかったため結局されるがままだった。それ以来事あるごとに迫られるようになってしまったのだ。しかもその度に黛が嫌がることばかりするので、最近では諦めの境地に達しつつある。その時にはもう手遅れで、「千尋は僕のものだよね?」などと恐ろしいことを言われたりもした。
    (オレは物じゃねえよ!)
    黛は心の中で悪態をつく。そしてなんとかあのヤンデレ主将に対抗できないかと考えに考え、ラノベを参考にしながら思いついたことがある。
    当然のように黛の部屋に入ってきた赤司に怯えてしまうのをなんとか押さえつけて、黛は勇気を振り絞って声をかけた。
    「……おい、赤司」
    「どうしたんだい千尋? ああ、早くベッドに入ってくれないか。寒いだろう?」
    「……赤司、話を聞いてくれ……」
    「ああそうだね。大丈夫だよ千尋」
    「赤司!」
    黛は赤司の腕を引き、自らその唇に口づけた。突然のことに驚いたらしい赤司の動きが止まる。
    「落ち着いてくれ赤司……な?」
    (上手く行ったか……?)
    赤司を抱き寄せてゆっくり背中を擦る。するとしばらくしてから恐る恐るという感じで抱きしめ返してきた。
    「千尋……うれしいよ……お前から口づけてくれるなんて……」
    黛の考えた対抗策とは、ある程度赤司を受け入れることだった。悲しいかな赤司とのキスはもう呆れるほどしてきた為対して拒絶反応がないのだ。
    「なぁ赤司……オレたちまだ高校生だろ? 節度を守っていこうぜ。それにほら、オレだってお前のこと嫌いじゃないしさ。だからちょっと落ち着けって」
    「……僕は充分落ち着いているよ。むしろ興奮しているくらいだ」
    「興奮してるんじゃねぇか!」
    黛が突っ込むと赤司は少し寂しげな表情を浮かべた。
    「……仕方ないだろう? 好きな相手にここまで許されているのに何もしない方がおかしい」
    「それはまぁそうだけど……」
    「……じゃあいいね?」
    「いや待て待て! 節度を守ろうって話をした直後にこの流れはまずいっつーか」
    「何がまずいんだい? 僕たちは恋人同士なんだからいいじゃないか」
    「そういう問題じゃなくてだな!」
    「じゃあどういう問題なのか言ってみてくれないか?」
    「えっと……」
    黛は言葉に詰まる。そもそも赤司と黛は恋人ではなく、それは全てお前の妄想だとなどと言えばどうなるかわかったものじゃない。
    「千尋……」
    「待て待て落ち着け!」
    服の下を弄ってきた赤司の頬を掴んで再度口づける。これで赤司が落ち着くと思ったのだが逆効果だったようで、黛の肩を掴むとそのまま勢いよく押し倒した。
    「うおっ!?」
    「……やっぱり我慢出来ないよ。千尋が悪いんだからね?」
    「は!? ちょっ、まっ……」
    その後黛は朝まで寝かせてもらえなかったとかなんとか。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works