夜駆け※先の展開の要素が出てきます。大丈夫な方だけお進みください
夜駆け
なんか疲れたなぁ。
そう思いながら窓辺で溜め息をつく。
別に何をしたって訳でもない。ただいつもと同じように職務をこなしているだけ。
いつも通り夕食も美味しかったし、風呂も気持ち良かった。なのに、何となく疲労感が抜けない。
椅子の背凭れに体を預けながら深い溜め息を零す。肉体的な疲労より精神の方の疲れかもしれない。
膝で丸くなっているフィーヌースの背を撫でてやるのもなんだかおざなりになっている気がする。これは宜しくない。
「キュウ?」
俺の機微を察したのか、フィーヌースが長い首を持ち上げて夕焼け色の瞳で俺を見つめてくる。
「フィー、今夜は一人で眠れるか?」
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