りちゅパパの独白子供は不思議な生き物だ。
正直、周りの人はとにかく俺に甘いと思う。
俺は子供産めないからよくわからないけど、妊娠も出産もすごく大変なことなのはわかってる。体の奥が造り替えられて、裂かれるような痛みを伴うらしい。
それなのに俺との子供が宿ったのを知ったみんなは、誰一人産むこと拒否しなかった。俺は王様だから、そうせざるおえなかったのもあるかもしれない...でもそんなみんなのおかげで、俺は父親になった。しかも気づけば六人も子供がいるのって、普通にすごいと思う。
話を戻すけど、子供って父親と母親が半分づつ遺伝子を出して生まれるわけだけど、そんな単純の話じゃなかった。遺伝子もあるけど、育ち方とか、性格とかが全然違くて不思議なのだ。
惚気?ん〜そうかもしれない
だって俺の子供だよ?みんなめちゃくちゃ可愛い子なんだから、親バカになるのも仕方ないよね〜
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ま〜くんとの間に出来た初めての子供は、ま〜くんよりも少しだけ濃い赤髪を持つ元気な男の子だ。
妊娠中からずっと「お前パパになるんだぞ〜」と言われているが、実際ま〜くんから小さいおくるみに包まれる赤ちゃん渡された時、初めて実感した。
産まれたての赤ちゃんは、思っていたよりずっと軽かった。王宮の庭と戯れていた野良猫抱っこしたことあるけど、それと同じぐらいだったと思う。でも体温が低い俺と比べてずっと暖かくて、ほかほかなカイロって感じ。
ま〜くんのお腹から出てきた子供は、なんとなくま〜くんの一部と思うと、愛しかった。
でもあの子の大きいな赤い血にような色の瞳と目があって、「赤ちゃんってお目目赤色なんだね?」と言ったら
「何言ってんだよ、お前の子供だからだろ?」
とま〜くんに笑われた。
そこでようやくこの赤が自分と同じものだと気づいて、この子はま〜くんの一部だけど、自分の一部でもあると知った。
目の前の赤ちゃんを見る15歳の少女は、母親とは思えない幼さと感じる。でもその目は紛れもなく一人の母親になっていた。
ま〜くんの体は小さいから、本当はこんあ若さでの出産は良くないことかもしれない。でもどうしても手放したくなくて、体のうちまで全部俺のものにしたくて、俺がこの子を母親にした。
「ま〜くん 俺の子供産んで後悔しない?」
「今更何言ってんだ?てかおまえ、子供はたくさん欲しいと言ってなかった?もう満足したか?」
「してない、これからもたくさん子供産んで欲しいしま〜くん似の女の子も欲しい」
「はいはい〜この子がもう少し大きくなってからな〜」
欲張りでごめんね。
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セッちゃんの出産は、ま〜くんよりもずっとスムーズだった。これ言ったらセッちゃんに怒られるけど、安産型のむちむちボディーは伊達じゃ無いよね〜と思った
なのにセッちゃんは今自慢なキレイな顔を、涙でびしょびしょに濡らしていて
「くまくん…ごめんなさい….」
どうして俺に謝るの?きょとんとした顔で横にいる乳母に目をやると、セッちゃんの小さい頃からお世話してたという女性はゆっくりと教えてくれた。
セッちゃんの子は生まれた時ひどく弱っていて、なかなか呼吸できなかったみたい。
セッちゃんの出産を横で見守る月ぴ〜が、力技で泣かせたから、ようやく一命を取り戻したと。
セッちゃんが許嫁に選ばれた一番の理由は、俺とセッちゃんは体質的に相性が良いから、子供が出来やすいって姉者から聞いた。
そんなふんわりしたもの、正直よくわからなかったけど、セッちゃんの胸元で弱々しくも精一杯呼吸をする銀髪の赤子の、セッちゃんの涙で濡れた透けてるような白い肌を見て、なんとなくその意味を理解した。
「アルビノ」
人間の中で極端に色素が薄い遺伝病で生まれてくる者をそう呼ぶらしい。
色素は紫外線をガードしてくれるから、アルビノの人は太陽に弱くて、赤い瞳を持つ。
まるで
吸血鬼みたいに。
吸血鬼の血を強く継ぐ子供は、普通の人間より体温が低くて、呼吸も浅い。太陽の光を当たればすぐ体調を崩す。
この子に吸血鬼の弱点を与えて、セッちゃんを泣かせたのは、きっと父親である俺のせいだ。
それでも、あのプライドの高いセッちゃんが自分から望んだ子供。男の子だから、セッちゃんはこの子を次の王として育てるかもしれないけど。俺はこの子が生まれてきて、こうしてセッちゃんと一緒にいてくれるだけで十分報われた気がする。
ま〜くんの子が暖かい太陽なら、この子はさしずめ暗闇を照らす月〜なんてね。
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月ぴ〜の出産は、予定よりも随分と早かった。
セッちゃんとは妊娠の期間がおおよそ二ヶ月半離れてるのに、セッちゃんが出産した1っヶ月後にその子供は生まれた。
月ぴ〜はハーレムにいるま〜くんとセッちゃんと違って、外で生活しているから、正直最悪の場合この子が実は俺の子じゃなかった〜としても、ちゃんと愛してあげると密かに秘めていた。
その心配はいらなかったみたいだけど。
「うわっ リッツと同じ顔だ!キモチ悪い!!」
さっきまで出産の激痛を訴えて俺を殺そうとしてるくせに…
「世界で一番かわいいと定評のある俺にそっくりな世界一可愛いお姫様に気持ち悪いとか〜月ぴ〜天罰降るよ」
垂れ気味な赤いお目目、オレンジと黒が混ざった不思議な髪。俺によく似た、初めての女の子。
幸せな気持ちがいっぱいで、勢いでもう一度月ぴ〜にプロポーズしてみたけど、やっぱりダメだった。
でも母親がいないのは可哀想だから、この子は月ぴ〜の療養が終わり次第、セッちゃんと周りのひとが育てることにした。外向きはセッちゃんの子と双子という設定。
「バレバレじゃん、そんな嘘。」
セッちゃんは口では嫌だけど、受け入れてくれた。
上の男の子二人はよく泣いてたけど、この子はあまり泣かなかった。きっととても強く成長するだろ。
自然界ではライオンは子供が自力で強くなるために捨てるらしいが、この小さいお姫様は、ライオンのように強くなるのかもしれない。
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みかりんが城で倒れていた。
予定よりも早く陣痛が来たらしく、ナっちゃんが見つけて保護したという。
「なんで教えてくれなかったの?」
「りつくんに…心配してほしくないんや」
まだこんなことを言ってる…
「王様だからじゃなくて、俺はこの子の父親だから、言ってほしかったの」
「….」
「あんな〜りつくん」
「なぁに?」
「なるちゃんがな…言ってたんや…うちは体が弱いし骨盤..?が狭いやから、難産になる可能性があるんって…だから帝王切開にしたほうがええらしいやけど」
「それ、みかりんの体にどんだけ負担かかると思ってるの?」
「んあ…でもほら…子供の安全が一番というか…」
「大丈夫だよ」
どこからそんな自信が出てきたか、正直俺もよくわからない。
「俺の子なんだから、きっとお人形さんみたいな小顔で可愛い子だよ。」
「んあ??」
結果的に見ると、俺の予想は当たっていた。
みかりんの子は自然分娩で産まれたし、小さな小さな、まさしくお人形のような女の子だった。
みかりんの遺伝で、お目目はオッドアイ。片方は俺の赤で、片方はみかりんの琥珀色。
多分この子に王位継承権は回ってこないけど、それでもみかりんが産んでくれた大事なお姫様。
みかりんは泣いて喜んでたし、初めて子供の誕生を目にしたス〜ちゃんもひどく感動していた。
この雰囲気ならいけるかも…と思って、勇気を出して声をかけた。
「みかりん、この子が正式なお姫様にするためにも、俺と結婚しよ」」
「んあ…でも月永さんは…]
「月ぴ〜は特殊というか..変人だから」
「…わかったで」
「!」
「とりあえずお師さんに赤ちゃんが生まれたこと報告せなばやな!それから考えるわぁ〜」
前途多難、壁は高かった。
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「ま〜くん、緊張してる?」
「ん〜もう2回目だからな〜今更って感じ」
もうすぐ、俺とま~くんの二人目の子供が生まれる。
「ママ ふぁいと〜!」
一人目の子も随分と大きくなった。普段やんちゃな遊び盛りが、こんなおとなしくしてるのは本当に珍しい。
「弟と妹、どっちがいい?」
「おとうと!そしたらいっしょにあそぶの!」
こいつ〜
「俺は女の子がいいなぁ〜こんなやんちゃなじゃなくて〜将来俺の面倒見てくれるま〜くん似のかわいい女の子が」
「あたしは凛月似の子がいいけどな〜」
「…やっぱり気にしてた?」
「ん….まぁ…でももう平気だよ!」
一人目の子は、どっちかというとま〜くん似だった。ま〜くんは元使用人だから、そのせいで城中のま〜くんのことよく思わないやつが、嫌な噂を立てたらしい。
それでもま〜くんは全然そんなこと顔に出さずにいた。
「お姉さま、何渋い顔をしているのですか!
凛月さまのbaby二人も授かって、司はまだ納得してませんから!」
「ス〜ちゃんこそ〜すんな大きな声だして、お腹の赤ちゃんによくないでしょ〜」
ス〜ちゃんは今妊娠二ヶ月、ま〜くんの二人目が判別した時はそれはそれは荒れたけど、念願の子供ができていまはだいぶ態度も穏やかになってる。
なんやかんやで、二人目の子は生まれた。
またもや元気な男の子、俺の願望はまた次に拓こそになった。
ただ….
「衣更…長男がくまくんに似てないって言われてたのがキツかったのはわかるけどぉ…これはさすがにちょっと…」
「ま〜くん…この子隠そう、姉者に見つからないように」
「ずるいです!!ずるいです!!許しませんお姉さま!!」
「いやお前たち何言ってんだよ!」
だって…ま〜くんの二人目の子
垂れ目気味の赤い目に、丸っこい黒髪…
「小さいくまくんだから、名前はこぐまでいいんじゃない〜?」
そんな簡単に名前決めないでよ…たしかにどう見ても小さい俺だけど〜〜え?ま〜くん要素何処??
「あでもほら、お口周りが猫ちゃんみたいなの、ま〜くんぽいかも〜」
「凛月は…自分似の子、嬉しくないのか?」
「そんなわけない!!俺とま〜くんの子だよ!!嬉しいに決まってる!」
「ふむ 衣更くんの出産は終わったかのう? どれどれ…」
「あっ 待って!ダメ!」
その後首の座ってない赤子を全国民向けにライオンキングみたいに宣誓をする姉者を、全員で止めることになった.
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時間の流れは本当に早いものだ。
姉者に「王の責務は子作り」と言われた時は、自分が結婚して子供を持ち、父親になる想像は全然できなかった。
あれから三年半ぐらい経って、今日はまた一人、家族が増えた。
あの初々しくてかわいい,みんなの妹みたいな末っ子のス〜ちゃんが、
お母さんになった。
「ほらス〜ちゃん 元気出しなよ〜ママがそんな顔じゃ赤ちゃんが困惑するでしょ〜」
「ですが….」
俺はどっちかというと騒がしい男の子よりも、おとなしい女の子の方が嬉しいから、ス〜ちゃんの子が女の子だって知った時はめちゃ喜んた。月ぴ〜の子はちょっと無口で不思議な子で、みかりんの子はちょっと臆病だけど、二人ともパパのこと大好きで..そう信じている。ス〜ちゃんの子も甘々に甘やかす予定。
でもやっぱりス〜ちゃんは男の子が欲しかったらしい。
ス〜ちゃんは一人っ子だから、その子供に母国の王位を継いでもらうのが、当時政略結婚と決めた時の約束。だから他の嫁と違って、ス〜ちゃんは男児を産む義務がある。くだらない古い思考で嫌になるけど,それがス〜ちゃんの望みでもある。だから二人も男児を授かったま〜くんのこと無駄にライバル視してるだろうけど。
「俺は嬉しいけどな〜ス〜ちゃんと同じキレイな赤髪の女の子〜きっとス〜ちゃんに負けない可愛らしいお姫様になるよ〜」
「女児で凛月さまとの間でできた大事の宝物ですので…もちろん嬉しいです…」
ス〜ちゃんと俺の間では、子供が出来にくい。
ス〜ちゃんは悪くない、どっちかというと陽の気が強い体質を持つス〜ちゃんの中では、俺たち一族の子が定着しにくいと姉者が言っていた。
実際この子が宿るまでス〜ちゃんがたくさん努力して、涙ながしてるのを知ってるから、その気持ちもわかる。
「大丈夫だよ〜ス〜ちゃんも俺もまだまだ若いし、これから頑張ればいいでしょ〜」
「本当ですか?!頑張ります!」
「せっかちだな〜その子がもう少し大きくなってからね」
「すみません…つい」
りんごみたいに顔を真っ赤にするス〜ちゃんのほっぺ、美味しそう。そういえば赤ちゃんのほっぺもス〜ちゃんと同じでぷにぷにしててさすがス〜ちゃんの子だねと一人感心した。
「凛月さま、この子の名前どういたしましょう?」
「ん〜ス〜ちゃんの実家がよく送ってくるお菓子の大福と同じぷにぷにだから、大福ちゃんにしよ〜」
「真面目に考えてください!!」
「ふふふ 冗談冗談〜リッツジョーク」
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そんな優しいみんなに甘やかされて、俺は六人も子供を持つ父親になったんだけど、子育ての大変さを知るのは、もう少し先の話でした。