神界夏天 朗々とした声は暑気を払わんかのようだ。大小も形もさまざまに、忙しく動きまわる存在たちのなかに探し人を見つけ、黄飛虎は足を止めた。神のとりでの建設予定地で、その探し人は仙人たちの先陣を切るように、水のように風のように働いている。引きも切らぬ指示が小気味よくあたりに響く。
ひときわ陽ざしが強くなる。あちい、と黄飛虎は呟いた。頭上より日射がふりそそぐ。偉丈夫の頭の黄金色も焼きつけられ、じわりと湧きだす汗がこめかみを伝う。立っているだけで、目も、頭もくらみそうなひなかだ。
硬質な印象のまなこがふりむいた。──聞仲だ。黄飛虎の視界に青いさざ波が揺れる。きらきらと輝くそのまなざしは、ごぽごぽと彼をどこまでも深く、湖底までも溺れさせる。
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