劇的B・A!注意!
・劇的B(ベスト)・A(アンサー)。
・若き数学者と詩聖のお話。
・空白の一ヶ月、その始まり(幻覚や妄想の類)。
・奏章Ⅳのネタばれを含みます。
・カプではなくコンビで書いています。
劇的B(ベスト)・A(アンサー)
~side M~
若きジェイムス・モリアーティはグラナートの自室で椅子に座ったまま、両腕を組んでいた。
苛立ちを隠しきれない爪先がアパートの床を何度も打ち付けている。
「めしょめしょなボロ雑巾のごとく捨てられていたサーヴァントを拾……保護し、グラナートに帰還してから数時間が経過した訳なのだが」
助けた男は一向に部屋から出てくる気配がない。それどころか時折、鼻を啜る情けない音が聞こえてくるような気がする。いや、隣の音が丸聞こえなほど壁は薄くない。しかしなんとなく、じめっと湿り気を帯びた空気が漏れてきている気がするのだ。とりあえず生きてはいるらしい。が、辛気臭いったらありゃしない。
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