迷界リセット(🚖🎲)「タクシーさん、どこ行くの??」
住人達が寝静まる深夜。ホテルの正面扉をソッと開けたタクシーに、後ろから声を掛けてきたのは、頭に大きなルーレット盤を乗せたルーレット小僧だった。
急に声を掛けられ、タクシーは思わずドキリとしてしまう。別にやましいことをしている訳ではない。ただ、これから──。
「……ちょっと、風に当たってくるだけですよ」
ルーレット小僧の真ん丸の黒い瞳が、タクシーをジッと見据えていた。タクシーはその視線から逃れるように、扉の先へ一歩踏み出す。
生暖かい風が好きだなんて、タクシーさんって変わってるね♪
そう言いながら、ルーレット小僧はタクシーの足元をついてくる。おいおい、勘弁してくれよ…とタクシーが帽子を取って髪をかき上げると、それを見たルーレット小僧は、ちょっと悪い感じがして、そっちの方がモテそうじゃない?♪と言った。冗談はよしてくれ…と言う様に、タクシーは目深に帽子を被り直す。
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