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    こなもの。

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    こなもの。

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    地獄のミーティング。(🚖、👨‍🍳、🐭、🪞、☎️)
    🚖さん中心。🚖さんがいっぱい食べてるのが見たかったお話です。設定フワフワなので雰囲気話です。

    ##GHS
    ##文章

    地獄のミーティング。(タクシー、シェフ、グレゴリー、ミラー、フォン)深夜、古びたホテルの出入口がギギギ…と音を立てる。立て付けの悪い扉を開けて中へ入ってきたのは、様々な雑務仕事を終えホテルへ戻ってきた地獄のタクシーだ。その顔には酷く疲れが浮かんでいる。

    ハァ……とため息をついて、彼はロビーのソファへと腰掛け、懐からタバコを一本、取り出した。
    火をつけようと、ポケットからライターを取り出すが……少し思案して、彼はそれらを懐へ仕舞った。

    今日はこの後、ミーティングがある事を彼は思い出したのだ。タクシーは重い腰を上げて、ロビーから食堂に続く扉を開けた。



    「お疲れ様で~す……」
    「タクシー……遅い……料理が冷める~……」

    扉の先、食堂でタクシーを出迎えたのは地獄のシェフだ。彼は早く座れ……とタクシーに言うと、先にテーブルについていた人物を見据えた。

    そこに座っているのは、このホテルの支配人である、グレゴリーだ。

    タクシーが今ここに居るのも、シェフが今ここに居るのも……全てはこの人の采配に他ならない。

    「ヒッヒッヒッ……遅かったじゃないか、タクシー」

    それでは始めましょう。

    不気味に笑う支配人は、カチャリとナイフを手に取った。



    週に一度、この三人は食堂に集まる日があった。これは勿論、グレゴリーの言い付けだ。

    シェフとタクシー。

    「地獄の」とついた彼らは、グレゴリーの命に逆らえない。言葉や一時的な反抗は出来ても、根本的な所で彼に逆らうことは出来ないのだ。

    それは本能的に分かってしまう、という感じであったが。そもそもシェフもタクシーも彼に逆らう気が、最初から無かった。

    そして今も。

    タクシーが社畜の様に働いていても、反抗しようだとか、ここを離れたいだとか、そういう気持ちが起きたことは、今の一度も無かった。

    何故なのか、生ぬるい空気が淀んだ吹きダメの様なこの場所を……離れたいとは思えなかった。

    それはきっと……シェフも同じだろう。そう、タクシーは思っている。



    「それで?タクシー、あの魂はどうなったのだ?」
    「あれは死神サンがー……こっちには来ないって、言ってましたよ」
    「またアイツ……っ!」

    シェフの作った新作料理を口へ運びながら、タクシーはグレゴリーとの会話を続ける。
    今日の新作はまた偉く尖っているな……と、タクシーは銀の塊を飲み込んだ。

    シェフの新作「フォークチャップ」は、文字通りフォークの塊……食器のフォークを、シェフの怪力で丸めたものに、ソースが掛かっている逸品だった。

    美味しいとは思わないが、いけなくはない……と、タクシーは咀嚼を続ける。

    タクシーがおかわりをした間も、グレゴリーは苦虫を噛み潰したような顔で、頬にそれらを必死に詰め込んでいるようだった。

    可哀想に……と思うが、タクシーは見て見ぬふりをしておく。触らぬ神に祟りなし、である。

    「ほへへ……ふぎは、いふ……グ、フ…ッ!?」

    フォークが刺さったのか、血反吐を吐いたグレゴリーを余所に、タクシーはさぁ……と息を吐いた。

    魂が次いつ来るか?そんなこと、タクシーは微塵も興味がない。今興味があるのは、競馬がいつ当たるかだ。いつも、あと一歩で取り逃がしてしまう。

    「ひひっ、どうせ当たらんよ……」

    グレゴリーが口元の血をナプキンで拭いながら、心の中を読んだかのように笑う。
    シェフ、グレゴリーサンはおかわりが欲しいって……とタクシーが言い掛けた所で、グレゴリーは大きな咳払いをした。

    「ンンッ!ごほん……ッ!とにかく、新しい魂が来ないことには何も始まらん……」

    マンマに怒られてしまうからな……死体ばっかり轢いてないで、たまにはお前も何か出さんか。

    グレゴリーがそんな事をいう日は、大抵何か良くないことが起こると、タクシーは知っている。



    あーあ、やだなぁ~……。

    シェフにおかわりを貰って、タクシーはまたモグモグと銀の塊を飲み込んだ。そんなタクシーを見ながら、グレゴリーは不愉快そうな顔で胸をさすった。

    「タクシー、ちょいと現世に行って新しい魂を連れてこんか」
    「はぁ……え、嫌ですよ!?」

    そんなことしたら死神サンに怒られるでしょ〜!?俺イヤですよ、この歳で怒られるの!

    ヤンヤ、ヤンヤと騒がしい食堂は、シェフの煩いやつミ~ンチ……と言う声でピタリと静かになる。
    最後にグレゴリーが小声で、お前がマンマの悪口言ってたの、言い付けるぞ……!などと言うものだから、タクシーの抵抗も虚しく……今日、タクシーの仕事に新たな業務が追加された。



    次の日、何時ものようにミラーマンの部屋を訪れたタクシーは、仲間であるパブリックフォンとミラーマンにウダウダと愚痴を溢していた。

    「聞いてくれよ~……また仕事が増えたんだよ、あのモウロクジジイ……」
    「バレたらしばかれるんだから、止めろってタクシ~!」
    「ホントだぜタクシー!!俺らまで粉々にされたら堪ったもんじゃない……!」

    「うぅ……巻き込んでやる~~……!」

    止めろって~~!!というパブリックフォンにヘッドロックを決めながら、タクシーはミラーマンの部屋にあったワインボトルを呷る。

    おい、もうそれしかないんだからあんまグイグイ飲むなよ!と、ミラーマンは言いながら、チラリとタクシーの顔を覗き込んだ。

    相変わらず真っ黒な瞳は、何も写していないみたいだな、とミラーマンは思う。



    しかし、こんな現実から逸脱した非日常を、タクシーは結構楽しんでいる。

    本人に自覚があるのか、ミラーマンは知らないが……それは昔、ミラーマンがたまたま視てしまった、タクシーの真実だ。



    おわり。
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