素直「ずいぶんできあがっとるのう」
「んー…」
目が半分も開いていない間抜けな顔をしている私を見ながら、彼は面白そうに呟いた。
今日は、前々から雅治が家に泊まりにきて、一緒に映画を観ることになっていた。
お互い忙しくて中々会えない日々が続いていたから、朝の支度の時間からずっとワクワクしていた。なのに、ちょっとしたミスをしてしまって上司に注意をされたことがずっと心に引っかかっていた。いつもならこんなに引きずらないのに、最近ずっと忙しかったからなのか思ったよりも自分を追い詰めていたようだ。
そんなこんなで帰り道、いつも飲まない度数が高めのお酒を買ってきてしまって今に至る。
「もう映画の内容も覚えとらんじゃろ」
彼はそう言いながらテレビを消す。
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