ある「元」光の戦士の6.02その10「美味しかった……」
いっぱいになったおなかをさするフィーネの口から、ふぁ、とひとつあくびが出る。
となりにいたフェオもふわぁ、とあくびする。
「お、移った」
「移っていないのだわ」
ウィメがからかうように言い、フェオが返す。
「フェオ=ウルってフィーネ以外に冷たいよな」
「そんなことはないのだわ」
そんな二人を横目に、フィーネが立ち上がる。
「じゃあ、ごはんもいただいたところで」
「うん?」
相槌を打つウィメは槍を磨いている。
「帰るね」
「まてまて」
あわてて槍から手を放し、ウィメの手がフィーネの肩をつかんだ。
「食い逃げで指名手配するぞ」
「御無体な」
笑顔でウィメの手をはがそうとする。
(握力つっよ)
(笑顔でめちゃくちゃ抵抗するなコイツ)
2078