語らい 早朝の雪道は降り積もった真新しい雪で、真っ白な絨毯を広げていた。
昇り始めた太陽が斜面を煌めかせ、眩さに被ったフードを下げる。
「よお」
これだけ雪の降る土地なのに、いつ来ても埋もれることなく姿を現していた。今でも彼を慕う兵や民たちが足繁く通っているのだろう。
墓標にニメーヤリリーの花を置く。
「悲しい顔は似合わぬと、酷なことを言う奴だと思っていたが……」
惚れた男の血を浴びて茫然とした顔。犬っころのようにコロコロ表情が変わる女が、強張った笑顔しか見せなくなっていた。
その後は……まあ、俺の不手際で傷ついている暇もなかったのもあるが。少しずつあいつらしさを取り戻していった。
あいつは今も英雄として求められて、期待に応え続けている。その小さな背中を、支えてくれる仲間もできた。
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