人生の大半を読書に費やす読書バカの春海和人は、ある日立ち寄った喫茶店で銃を持つ押し込み強盗と遭遇。錯乱した強盗は居合わせた女性客を撃とうとするが、和人は彼女をかばって射殺されてしまう。
走馬灯がよぎる中、和人は「死んだら本読めないじゃん」という読書バカの執念により、奇跡的に現世への生還を果たす。しかし、その姿はなぜかミニチュアダックスフントと化していた。
「せっかく生き返ったのに、犬の姿では本のページをめくることはおろか買うこともできない」と煩悶する和人だったが、そんな彼の前にハサミを得物として持ち歩く狂気の美女・夏野霧姫が現れる。彼女の正体は和人が大ファンの作家・秋山忍その人であったが、彼女がなぜ自分の前に現れたのか、和人にはまるで覚えがない。
それもそのはず、和人が犬として生まれ変わったのと同じ頃、なぜか霧姫は「犬と化した和人」の心の声を聞くことができる様になってしまい、彼女は煩悶する和人の声に導かれるままにやってきただけだったからだ。
霧姫は当初、頭の中に鳴り響く和人の声に我慢ならず、彼を始末するつもりだった。だが和人を尋問する中で、彼が強盗の恐銃から自分を守った命の恩人だと気付き、気持ちを改める。
かくして犬と化した和人は霧姫の元で、第二の読書バカ人生を歩むこととなった