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    Whitelily0114_1

    @Whitelily0114_1

    自創作を描きます
    小説とかはこっちに投げる予定です
    あんま来ないかも

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    Whitelily0114_1

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    これで最後です
    最期まで花のような人でした
    どうか、安らかに

    花による月の観察日記(4)遺書

    ソルへ
    なんだかこうやってソルに手紙を書くことって、そういえばなかったね。改めて、一緒に暮らしてくれてありがとう。
    ソル。私のお兄ちゃんみたいな人。太陽みたいに明るくて、いつも私を照らしてくれた人。頼りになって、でも時に子供っぽくて悪戯好きで。とても優しい人。
    最初は怖かったんだ。ソルが私を引き入れてくれた時。得体の知れない人が突然「お前仲間にならないか?」って言ってくるんだからね。私は14だったから、思春期真っ盛りだったからさあ。警戒心MAXで接しちゃったよね。若干ソルを避けてた時もあったと思う。あの時はごめん。まだあなたが本当は優しい人だって気付けてなかったんだ。
    戦闘面でもいっぱい助けて貰っちゃったよなあ…。私がドジした時とか、いっつもカバーして貰っちゃったりして。ソルが助けてくれなかったら私、もっと早く死んでたかもね。
    余命のこと、言わなくてごめんね。私、一昨年の大晦日の時に夜天の神に言われたんだ。持ってあと2年だって。でも、誰にも言わなかった。ゲアラハには若干勘づかれちゃったけどね。心配かけたくなかったんだ。ごめんなさい。これは私からの最後の謝罪ね。
    本当はもっといっぱい書きたいことも、話したかったことも沢山あった。だけどもう私には時間が無いから。みんなともう時間を共にできないから、これで終わりにするね。
    最後にお願いがあるんだ。アステルの分の手紙、ソルが読んでくれないかな。この日記の中身はアステルにだけは見られたくないんだ。お願いね。
    私を拾ってくれて、一緒に過ごしてくれてありがとう。いつまでも、大好きだよ。これからもアステルと仲良くね。
    ナデシコより

    アステルへ
    手紙っていうのをあんまり書いたことがないからわかんないや。変なとこがあったらごめんね。
    一緒に暮らしてくれてありがとう。アステル。
    名前通り星のような人。ソルが進むべき道に引っ張ってくれる人なら、アステルは背中を押してくれる人だった。さりげなく、進むべき道を示してくれる。お兄ちゃんみたいなところもあれば、弟みたいなところもあったね。
    ソルが私を連れてきた時、すっごい拒絶してたよね。懐かしいなあ。多分、警戒心の強いアステルのことだから、私がソルに危害を加えないかが心配だったんじゃないかな?違う?でも、私はアステルにずーっと引っ付いてたよね。実験を眺めるのも好きだった。勉強も教えてくれたよね。植物の種類、毒か薬か。すっごく丁寧で分かりやすかった。先生にでもなってみればいいんじゃない?……冗談だよ。
    アステルってツンデレだよね。いつも、文句言いつつも助けてくれるもん。私が怪我した時だって、なんやかんや言いつつも、いっつも心配してくれた。優しいよね。
    だけど、あなたは人一倍寂しがり屋なんだ。私知ってるよ。っていうか、ソルもゲアラハもみんな知ってる。もう周知の事実だね。……そんなアステルの、おそらく初めてのお別れが私だと思う。私ずっと心配なんだ。アステルが私の死を上手く乗り越えられるか。ソルがいれば大丈夫だとは思ってるけど、アステルの気持ちはアステル自身で踏ん切りをつけるものだからね。
    私が居なくなっても、私を感じられるものは家中の至る所にあるはずだよ。私は、あなたたちの記憶の中で生き続けるんだから。大丈夫。あなたが真に一人になることは無いよ。
    余命の件、言わなくてごめんね。寂しがり屋なアステルがこのことを知ったら、きっと取り乱すと思って。言わない方がいいと思ったんだ。これは正解だったかもね。なんて言うと、絶対「なんで言わないんだ!」って怒るんでしょ。私知ってるよ?
    最後に。今まで私と一緒の時間を過ごしてくれてありがとう。もしお墓を作ってくれるなら、花を供えてほしいな。それと!もし、もしアステルが1人になったら、もしもそういうことがあったら、その時はこの日記を全部見てもいいよ。それまでは絶対見ちゃダメ!いい?わかった?
    私の大好きなアステル。私を受け入れてくれてありがとう。ずっと大好きだよ!ソルと仲良くするんだよ!
    ナデシコより

    ゲアラハへ
    私の初めての友達。そういえばゲアラハに手紙って初めてだっけ。そっちから私に書き置きみたいなのを残すことはあったけどね。
    友達になってくれてありがとう。正直、最初は互いに良い感情は抱いてなかったよね。お前は私に嫉妬してたし、私はお前を胡散臭ぇ奴だって思ってた。そんなスタートからよく友達までいけたもんだよ。びっくりだね。
    お前はなんか無駄に洞察力が高いんだから、隠し事ができないんだよ。特に余命の件ね。一昨年の大晦日に夜天の神から言われて、お前にだけはバレないように必死に努力して隠してきたのに。あっさり見抜かれちゃって。終いには「大体検討がついてる」ってさ。今までの努力は一体なんだったんだろうなって、思っちゃったよね。
    正直、もっと早く友達になれてたら。そんなことは絶対にないんだけどさ。だけど、もし、そんなことがありえたら、もっと深い仲になれてたと思うんだよね。今も十分深いけどさ。お前と一緒にどっか行ったりさ。友達らしいことって、思えばあんまりやってないんだよね。だから、そういうことはしたかったなあって思っちゃった。もう今更だけどね。
    ああ、そうそう。これを読んでる頃にはもう私は一生を終えてるだろうから、この日記を書き始めた理由について教えてあげるよ。
    動向の把握のためだよ。初めてお前がうちに凸って来たじゃんか。その時本当に何考えてるかわかんなくてさ。怖かった。こいつ家まで来るのかって。だから、行動を把握するために書き始めたんだよ。ま、それがいつの間にか私の日常に介入してくるようになって、私の日記にもなっちゃったんだけどね。
    正直ね、お前にしか言えないんだけど、羨ましかったんだ。みんなが。だって、太陽とか月の祝福を受けてたり、星から生まれてたり。みんな普通の人間じゃないじゃん。でも、私はただの人間。ただ、剣の才能があっただけの人間。現にこうやって死んでるしね。だから、私は私なりに、みんなに着いていこうと必死だったんだ。これは2人に言っちゃダメだよ?絶対ね?……だから、あの二人はどこか私と遠い存在だって感じてるんだ。一方的にね。お前は、私の気持ちを考えてくれた。寄り添ってくれた。それが、嬉しかったんだ。あの大喧嘩した時だって、お前は私のことを考えててくれたんだ。ひとりで抱え込んでた私を、気にかけててくれた。だけど私は、お前には伝えたくなかった。あの時はごめんね。私もきつく言いすぎた。焦ってたんだ。自分が死ぬかもしれないことに。
    ……数年前、お前が私に話してくれたことあるじゃんか。あの二人へのクソデカ感情ね。あの時、お前は自分の感情を「執着」って言ったよね。でも、私はお前と過ごしたこの数年を思い返して、お前のその感情は「執着」じゃなくて「愛」って言ってもいいんじゃないかなって思ったんだ。こんなの、面と向かって言ったら絶対否定するだろ。ま、これを受け入れるか受け入れないかはお前に委ねるよ。お前の感情だからね。ただ、お前の持ってる感情は、前よりもずっと澄んで、綺麗なものに見えるよ。それだけは言っておくね。
    ああ、そういやお前が怪我した時に私が遊んでつけた薔薇の髪飾り、あげるよ。あれはお前によく似合ってた。お前は目が覚めるような赤とか、あと女装もきっと似合う。1回してみたら?2人はきっと爆笑すると思うけどさ。本気でやってみたら結構似合うと思うぜ。これ割と本気で言ってるからな?冗談じゃないぞ?
    ここまで長々と書いてきたけど、もうそろそろ締めに入るか。
    今まで本当にありがとう。花好きな私にことある事に花を贈ってくれたり、氷で鳥とか蝶とか花を作って見せてくれたのもとても嬉しかった。仲良くなってわかったけど、ゲアラハって結構素直なとこあるよね。あとロマンチスト。だけど現実をちゃんと見れる人。すごく大人だと思う。素敵な人だよ。お前、割と自己肯定感低めだけどさ、もっと誇っていいよ。お前にはいい所が山ほどあるんだからさ。
    最後に、今まで通り月一でうちに訪問する習慣は続けて欲しいな。これはただのお願い。強制じゃないよ。私が居なくなったあとのアステルの精神状態がすごく心配なの。ソルがいるから大丈夫だとは思うけど、お前も心配になるでしょ?なんなら毎日来てもいいよ?
    あと、お前が思ってるより2人はお前のこと嫌ってないよ。むしろ好ましく思ってると思う。
    これからもソルとアステルをよろしくね。
    ゲアラハはいつまでも私の大好きな、大切な友達だよ。
    ナデシコより

    3人へ
    私が居なくなっても仲良くすること!
    寂しくなったらナデシコの花でも見て。私が一番好きな花だから。
    3人とも私が大好きな人だから、いつまでも笑顔でいて欲しいな。
    空の神2人にもよろしく言っておいて!
    「白石竹の才女」ヴァルヌスもといナデシコより
    愛をこめて



    お母さんへ
    この手紙は絶対に届くことはないと思うけど、書いておくね。
    私を産んでくれてありがとう。お母さんが生きてる間には、言えなかったけど。私はここまで成長できたよ。友達も、家族みたいな人もできた。すごく大切な人。何回か死にかけたり、危ない目にあったりもしたけどね。私の一生はすごく楽しいものだったよ。
    後悔はないって言ったら嘘になっちゃうけど、それはお母さんも同じだと思う。人間誰しも後悔なくして死ぬことはありえないと思うんだ。
    お母さんにも、あの3人を会わせたかったなあ。すごく面白い人達なんだよ。でも、すっごく優しい人。みんないつも私を気にかけてくれたの。別れるのが寂しいよ。
    私ね、すごく強くなったんだよ。周りから「白石竹の才女」って呼ばれるくらい。お母さんにも見せたかったなあ、私が剣を振る姿。きっと見入っちゃうよ?なんてね。
    お母さんも私も若くして死んじゃったけど、その分他の人よりも濃い人生を過ごしてきたと思うんだ。お母さんはお父さんっていう大切な人と出会ったし、私はソルとアステルとゲアラハっていう大切な人と出会った。私にはお母さんみたいに、生涯を共に添い遂げられるような旦那さんみたいな人はいないけど、その代わりにお兄ちゃんみたいな人ができたよ。
    私をあの3人に出会わせてくれてありがとう。ここまで育ててくれてありがとう。
    私の、大切なお母さん。大好きだよ。
    あなたの娘ナデシコより
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