聖なる夜はヤドリギの下で街が色とりどりの電飾で輝くこの時期は、恋やら愛やらで呪いも増える。
術師になって1年目の時、聖なる夜は大切な人と過ごすのは不可能だと覚悟した。
「あんたさっき、補助監督に声かけられてたみたいだけど」
書類が積まれた私のデスクの端に、硝子が寄りかかった。
「今晩食事でもって言われたけど、断った」
「じゃあ、私と一緒に飲まない?」
「せっかくだけど、報告書残ってて。それでさっきのお誘いも断ったの」
硝子は書類を手に取り、パラパラとめくっていた。
「この業界にいる以上、クリスマスはまともに過ごせないよね」
覚悟は決めていたけど、術師になって数年、クリスマス前後は本当に忙しくて、一緒に過ごす相手といえば、同じ現場の補助監督くらい。
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