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    kaai

    @uzusiomi

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    kaai

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    ふと思いついた

    ノノミツついにミツコの装甲外殻が欠けた。

    生身を晒したミツコを見て、ノノカがぎゅっと手を握ってくる。
    何度も繋いだ手、この五指を絡めて眠った夜も少なくない。ふたりで笑い、他愛のない話ができる、幸せだったあの日々。
    もう、戻れないのだ。
    ノノカの手は既に人間のソレではなく、歪で硬い皮がミツコの手を強く強く縛り付ける。

    「ミッちゃん…ウチ…、イ、一緒に、」

    握られた手に走るあまりにも酷い痛み、骨が折れ、肉に爪がくい込み、潰れていく。
    それでも歯を食いしばってなんとか意識を保ち、ミツコはありったけの力を込めて叫ぶ。

    「ノノカ!!!もうやめてってば……!!お願いだから、戻ってよ…!!!!」

    もう息が持たない。
    必死に叫べども虚しく、嗚呼、青が流れ込んでくる。
    きずぐちから、ノノカがくれた青で満たされていく。

    「ノノ、カ……」

    これが、青。
    ノノカの追い求めたモノ。
    素晴らしい…?素晴らしいではないか。素晴らしいんだ。遥かなる青、群青、永久なる栄光──。

    「違う…コレのせいで、ノノカは、あたしの、親友は……!!」

    霞む視界と理性。それらをまるごと無視して、濁流の中に放られた意識を再び掻き集める。
    全身全霊をもって全てを賭け、ミツコは己を奮い立たせた。

    「ノノカ!!!!!ノノカ!!!!!!!お願いだから、あたしを見てよッ!!!!!!!!」

    叫ぶ、叫ぶ、声の限りに、息の限りに、想いの限りに。
    繋いだ手は離さない。離してなんてやるものか。

    ミツコの覚悟を正面から受けたノノカの瞳が見開かれ、きらりと光る。
    青き光の中、粒になって零れ離れたそれは、青に由来するものなどでは決してなかった。

    「ミッちゃん……、ミッちゃん、ウチは、」

    攻撃の手が止むことは無い。ミツコの手もとっくに原型を留めてなどいないし、外殻装甲を失った身体は壊れかけ。

    揺らぐノノカはきっと何も感じていないわけではない。
    ただ、引き戻すには明らかに決定打に欠けている。

    (ノノカ……)

    このままいけば、或いは希望もあったのかもしれない。しかし、ミツコには抗いようのない限界が迫っていた。
    結局親友を救えない。ミツコでは足り得なかったのだ。

    死にゆくということは辛いんだな、なんて、今更なことが頭に浮かぶ。

    (悔しいなぁ…1ダースなんて軽く帳消しに出来たのに)

    原因は酸欠か出血か『青』か、力の抜けていく身体はふわりと漂い、奇しくもノノカの胸中へと向かう。



    ミツコの身体を受け止めたノノカの反応を伺うことは、もう出来なかった。
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