月の入り 月明かりしか無い室内。
気怠げにカウチに身を横たえる幼馴染がその細い指先で用意したベリーを摘む。良く冷やしたベリーが薄い唇に運ばれる様子を眺めながらオルテガはうっとりとその様子を眺めていた。
散々貪り合った為か、いつも清廉な雰囲気を纏う幼馴染は今は退廃的な魅力を放っている。サイズの合わないシャツはオルテガのもので、だらしなく着ているせいでしなやかな首から胸元が覗いている。陶器のような白い肌に咲く紅い痕はオルテガがつけた所有印だ。
下は何も履いていないからすらりとした白い足が月明かりの下で無防備に晒されている。そして、彼の細い手首に残る紅い帯状の痕は倒錯的な行為の証。傷付けたくないと思いながらも、自由を奪って支配する仄暗い悦びはオルテガの身の内に未だに燻っている。
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