剣太郎固定夢主/②告白の話「剣太郎が女子に呼び出されたぞ」
テニス部の人達が慌ただしく駆けていく。部活の準備をしていた循音は、その言葉にぴくりと反応した。
「気になるかい?」
「さ、佐伯さん……」
いつの間にか循音の隣には佐伯が立っていて、爽やかな笑みを浮かべていた。循音の恋心は誰にも伝えていないが、佐伯にはバレていると思うことがある。濁しながらも、彼の顔を直視する事が出来なかった。
「ここは俺がやっておくから、様子を見てきなよ」
「えっ、でも、先輩に仕事を押し付けるなんて……!」
「ウチはそういう風潮じゃないの分かってるでしょ。ほら、行った行った!」
トンと背中を押され、循音は一歩前に出る。佐伯の方を躊躇いがちに振り向くと、追い払うような動作をされた。循音は真っ直ぐ前を向いて、剣太郎の居る場所へと走り出した。
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