「なぁ、それどうにかならねぇのか」
彼が唐突にそんなことを言ったのはデートの帰り道のふとした瞬間だった。
「それって?」
隣を歩く彼を見上げる。何か気に食わないことを言っただろうか、思い返すが心当たりがまるでない。
「だから、そのジローっての」
一瞬咀嚼しきれず頭がフリーズする、何を話していたっけ。確か昨日みすいとジローが遊んだんだってーとかそんなことを話していた気がする。ジローっての……この話題そんなに跡部くんの気に食わなかったかな。
「え、跡部くん、だってジローと仲良」
「そうじゃねぇ」
珍しく跡部くんが私に被せるように言葉を連ねる。
「なんで俺は跡部くんなんだよ」
彼氏だろ?と私の手を握る恋人繋ぎの指が少し強まる。親指で手の甲を撫でられ顔が熱くなる。
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