第四回紅月で蓮巳殿を祝う会(前日譚) まだまだ残暑も残る9月の頭のこと。
メガスフィアでの生活も少しずつ慣れ、今日は紅月としてではなく個人の活動を、という日のはずだった。
そのはずだったのだが、蓮巳が部屋を出た途端、鬼龍は神崎と共にかなり強い力で引き留められたのだ。
あざや痕こそできていなかったが、自分たちのことを熊か何かと思っているのかと聞きたくなるくらいの勢いだった。
引き留めた当人は、引き留めた瞬間とは打って変わってのんびりとさんぴん茶を淹れている。淹れているといっても、メガスフィア内の自販機で売っているペットボトルのさんぴん茶をグラスに移しているだけなのだが。
「本当はちゃんと茶葉から淹れたいんだけどね〜」
「それで、滝、話というのはなんだ」
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