ネコとキツネーーー
カチリ、ソーサーにカップを静かに置く。底に残る茶葉のカスを眺めながら時間が流れるのに身を任せていた。
ふと玄関の外に気配を感じる。
...どうやら人間でもない、招かざる客が来たようだ。
清らかな鈴の音と祭囃子の音を響かせて開く前方の扉に目を向ける。
「__ここはずいぶん生臭いところだの」
小さな体に大きな獣の耳と尾を携えた少女が年に合わない老人口調でぽつり呟く。
「...これは驚いた。珍しいお客様が来たもんだ。」
「いやはや!まちごうて変なとこに繋がってしまったようでな!こんなとこに来たくて来たわけではないからの!」
獣がケンケン騒ぎ立てる。よくもまァ口が回るもんだ。実力は未知数故に迂闊に手は出せないし、部屋を滅茶苦茶にされるのはごめんだ。
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