『灯台の下で独りマック』++++++ くるるさん
『灯台の下で独りマック』
俺の名はスティーブ、孤独を愛し、孤独に溢れ、MacBookをこよなく愛する者。
今日も独り、灯台の下で、愛用のMacBook片手にタイピングを楽しんでいた。
「ハーイ!スティーブ!!今日もクールね」
「よしこか、君はこんなところに来ていい女じゃない」
「どこになら行っていいと言うの?」
「天国さ」
スティーブは懐から取り出した、ピストルでよしこの脳天に鉛玉をぶち込む。
本来なら溢れ出る脳漿と血潮がよしこの脳髄で止まっていた。
「やはりか......」
「痛いじゃない。首が千切れるかと思ったわ」
「人間なら死んでいるんだがな」
「人間よ、立派な。ただ、あぽぺとすんぱらりぁ人だけどね」
よしこは右手を八本に増やしながらニョキニョキと無脊椎動物のように動かした。
「次は私の番ね、覚悟はいい?」
++++++ ゆうりさん
「次は私の番ね、覚悟はいい?」 そう言ったよしこは危なげなくスティーブの懐に近づき、何かを取り出した。 なんだこれはといぶかしむスティーブにいっそ爽やかさすら感じる笑みを浮かべてよしこはこう言った。 「スティーブも知ってるでしょ?マクドナルド!あの美味しいおいし~いハンバーガーの店よ!」 「そこで決着をつけようってか」 「まさか!こんな身なりで行ったらそれこそ警察沙汰だわ。あんた一人で行ってこいってことよ」 「なんでまた」 「こんな寒い灯台の下でニヤニヤしてる気色悪い奴、それこそ警察呼ばれるわよ」 肩をすくめて話すよしこにスティーブが取った行動はこうだった。
++++++ たけのこさん
スティーブはやれやれといった顔をして要求を呑んだ。
彼は悴んだ手で財布を取り出し、
「ビッグマック2つ。ポテトも。Mで。」
とぶっきらぼうに言った。
「只今ポテト増量キャンペーン中でして…」
「あー、いい、いい、Mで」
店を出て足早によしこの元へ行き、無言で紙袋を差し出す。
よしこが袋を持った瞬間、彼女の顔は豹変した。
++++++ いとま
「ちょっと私にもたせるの?」
よしこは俺がさしだした袋を不機嫌そうに受け取る。
スティーブは文句をいうよしこに面倒そうな顔をする。
「いいだろ俺が金だしているんだから、さっさと灯台に向かうぞ。
腹すいてるんだ、早く食べたい。」
++++++ ちみにぃさん
そう言って踵を返そうとしたスティーブの顔面に、先ほどよしこに持たせた袋がクリーンヒットした。
「なによ、その言い草。たかだかマックの金出した程度で、そんなに偉そうにするんじゃないわよ! 金玉の小さい男ね!」
そう吐き捨てマックの袋を投げ捨てると、よしこは足早にその場を去っていった。
スティーブは一人、波の音を聞きながら、灯台の下にいる。
ポテトがすごくしょっぱいのは、きっと、海風のせいだ。
そう思いながら、甘い甘いシェイクで涙を飲み下した。